アラン著 古賀照一訳 「3」 白水社

 

感情・情念・表徴

 

第42章  愛と憎しみ

 

 

 

デカルトは愛情は健康に良いが、逆に憎しみは一種の病であると言った。

 

情念論は読まねばならぬ良書である。

 

子供はもっとずっと低い根源的ないわば内的な動作によって愛と憎しみを表現する。

 

愛するということは根本においてはよりよく呼吸する

 

よりよく消化する、よりよく同化するということだ。

 

憎むということは自らの生命の活動を抑制することにほかならない。

 

デカルトの箴言は

 

愛によって善を求める行動の方が、憎しみによって悪を克服する行動よりはいい。

 

子どもを育てるのには弱点・移り気・投げやりなど

 

要するに子供の示す短所にだけ注意を払うよりは

 

その子供が魅せる良いところに気を配って育てるほうがうまくいくだろう。

 

つまり慈愛の掟でである。

 

もっと簡単な準則として相性の良い態度を取れということである。

 

まず手と顔付きの、例えば拳を握りしめる、歯を食い縛る、眉をしかめるなどの

 

激怒の始まりを表わす仕草をすべてやめることである。

 

これが礼節に他ならない。

 

 

常に愛僧の動きに揺さぶられる心を統御する。

 

外面が変われば内面も変化せざるを得ない。

 

態度は体液(気分)を支配するのだ。

 

 

 

子供は嫌悪・不快・戦慄など強い表現力のある異端俳優の言葉を

 

鼻や口をしかめる動作と同じ様に生まれつき持っている。

 

憎しみは相手の顔に肝臓病の痕跡を残すかのようである。

 

一方愛することはよりよく呼吸し、消化し、同化する為

 

解放された生命の躍動つまり歓喜と安楽、優雅を感じ取れる。

 

デカルトのいう箴言とは慈愛の掟がある。

 

愛する行動を取る方が憎しみによって悪を克服する行動よりはいいと。

 

つまりいつもニコニコし、愛想の良い態度で接し、

 

相手を褒め、良いところだけを認める行動の方が気分を支配する。

 

これが最も良い方法だ。

 

生まれつき持っている内的な動作を

 

笑顔によって克服できるのだということを知ること。

 

 

 

2023.5.4

三峰神社(埼玉県秩父市)