アラン著 古賀照一訳 「3」 白水社
感情・情念・表徴
第21章 孝 心
赤ん坊は目方が増え、元気になっていく。
これが赤ん坊の感謝の表現である。
これこそすべての人の最高の実質ある感謝の表現であり、
すべての感謝の表現の模範である。
報恩という言葉は感謝という言葉から出ている。
感謝の感情を孝心と名付ける。
純粋な感謝の愛の第一の模範は愛の教師の教師。これが自然のあり方である。
つまり尊敬の念・感謝の念である。
いっさいの愛は孝心の模範である。
自然のありかたに従っての情欲から愛への転移は性の欲情を崇高な愛のお手本たるものへと
昇華させる操作によって行われなければならない。つまり抑制。
愛は情念から愛への転移は男性の女性への自己抑制する操作によって孝心という
お手本によって行われなければならない。
崇高な愛は赤ん坊が母親に対する孝心と同じである。
恋愛も男性が女性に対する野心と愛は身体全体でお乳を飲んでいる
赤ん坊を抱いている母親に向かうように
性の欲情を自己抑制しながら情念から愛へと転移して行く。
愛への転移は男性は赤ん坊のように女性への孝心をもつことによって
発展していくものだ。
すなわち孝心は報恩・感謝の感情を持ち続けることだ。
性の欲情ではなく
孝心をもつことが(導教・感謝の念)愛への転移を約束し、
崇高な愛となるのだ。