アラン著 古賀照一訳 「3」 白水社
感情・情念・表徴
第20章 海のビーナス
デカルトの考え方は、
期待すること、選ぶこと、退けること、拒むこともすべて思いのままにできると信じないことには
人間は観念などを形成出来るものではない。
という考えである。
つまり西洋思考の大憲章は「自由懐疑」なのである。
一方東洋人はすべてを一つにまとめたがる。
頭の中に現れ出るものを現れ出るがままに考えの対象とするのだ。
こうした大陸的な思考は実は何も考えていないのだ。
西洋の科学とは懐疑の精神にほかならない。
慎重な精神。人の目に見えないでいる構造を追及する。
東洋思考は宿命論つまり大陸的な思考で、すべてを一つにまとめて考える完全型の熱愛に等しい。
一方西洋的思考はデカルト的懐疑精神。
夢(夢想)と現実を区別する自由な精神である。
これは仮象(感覚的現象)を一切否定し、仮象を出現させている事物の構造-
人の目に見えない構造を追及する精神だ。
東洋的思考は夢と現実を一つにする考えが根本にある。
西洋的思考は夢と現実を区別し目に見えない現実を科学的に懐疑的に
精神で真実を知る。
デカルト的な考え方がビーナスなのである。感情ではなく現実なのである。