アラン著 古賀照一訳 「3」 白水社
感情・情念・表徴
第15章 男性の精神と女性の精神
男性の精神は行動に酷似する。
行動を支配するものは憤激である。
男性の思考は非人間的で、現に行っていることからのことしか思考はしない。
一方女性の精神は朔像製作者の動きを見せている。
その刻印は思考の上に現れている。
人間の思考は人間の肉体の構造と機能に依存はしない。
女性はいつも思考を種属の保存と仕上げに引き戻す。
女性の思考は厳しい修練を経てきていないため、毎日毎日繰り返される
つましい仕事の中にしか現れ出てこない。
男性の思考は非人間的である。
その精神の対象は征服である。武器と道具を使用するように身体と思考を使用して
外部の世界と戦うのだ。
女性の思考は人間的。
その精神の対象は保守的で人間の内面を形成することである。
細々とした仕事が細々とした精神をつくる。
節欲・勇気・正義・知恵の四つのオールドミスが人間の進歩を教示する。
男性は外へ。女性は内へという精神だ。
女性は内の窓から男性の精神を考えている。
外部の敵を滅し終えた暁に男性が自分自身をどう扱えばよいのか。
それを男性のかわりに女性が絶えず考え続けてくれるのである。