アラン著 中村雄二郎訳 「哲学概論」 白水社

 

第三部 推理による認識

第5章  注  釈

 

 

 

物事の考え方は二通りある。

 

数による集合・外延的・数から証明・経験的・胸算用的な大まかなもの。

 

一方

 

方式的な考え方として

 

定式による内容的な観念からの証明・真の科学・定量的で力学的システムで

 

明瞭な蓋然性のはっきりとした考え方である。

 

前者の経験的か後者の法則的かで考えると

 

物事は考え方・見方が全く異なるのだ。

 

ここに注意することである。

 

 

真の科学は

 

近似性によって誤謬を量的に制限することによって自然の物事を捉える。

 

ところが

 

通俗的な科学は経験の力を頼って一種の蓋然性に到達する。

 

 

アランはこういう・・・

 

 

「原因を推測することさえもせず、成功ばかりを胸算用する盲目的な確率もあれば

 

トランプやサイコロの遊び、ルーレットなどのようにその結果をメカニズムの体系に負う

 

見通しのきいた確率もある・・・・・」と。

 

 

「妬み深い人間はすべて幸福な人間の数に入らなければ、また、もしすべての虚栄心の強い

 

人間は幸福な人間の数に入らない」

 

と結論する方法は外延的な考え方である。

 

これを内包的に考えると

 

「妬み深い人の集まりは、虚栄心の強い人の集まりを全部内に含み、幸福な人の円の外に置く。」

 

通俗的な考え方と方法的な考え方とが違うように

 

一方では多くの実例から証明を引き出し、他方は観念から証明を引き出す。

 

表現方法でも考え方は異なる。

 

アランは

 

物事の考え方は、内容的にも外方的にも考え方が異なるも、

 

どちらにも考え方があるものだと指摘しているのだ。

 

そしてどちらの考え方も誤りではないのだ。

 

 

2022年1月23日土曜日