このまま、まっすぐに、追いかける勇気が出ないのならば。
この夢ごと、消えてなくなればいいのに。
そんなことを言いながら、右手でその袖口をしっかり握っていて。
離したくない。
消したくもない。
私、ほんとうは、って。
叫びたいよ。
憧れの袖口に、こっそり腕を通して。
鏡の前で、くるりと回ってみる。
やっぱり、私には無理かな。
誰かにきっと、笑われる。
先も全く、見えないし。
一人でそう呟いては、それをするすると脱いで。
そのくせ、やっぱり大事に右手に持ち直したりして。
ふふふ、って笑ったり。
気づかなかったふりを貫いたり。
小さく俯いたり。
ぐっ、と言葉を飲み込んだり。
横目で流したり。
ずっと、ごまかしてきたの。
でも、もう、できないよ。
この夢を、身に纏って。
私、
うたっていたい。