2009年、夏。今も迷う時に思い出すのは、猫背のあなた。いつも、音色を紡いでいた。私の手が触れることのない、少し遠くで。私も絶対そういう大人になる、って。何度も幼く伝えた。おすすめはできないけどなあ、って。あなたは困ったように笑っていた。あのね、私、こんなふうにうたっているよ、って。憧れた背中を無意識に追い続けてきたのだ、と。あなたのその耳に届く日が来るように、なんて。安藤裕子さんの「海原の月」を聴きながら。二葉