青年Bの言葉

「俺は、知ってたんだ。あの地下室で、何かが起きてたことを」
「あいつに出逢う前から、ずっと」

ーどうして?

「一度だけ」
「親父に着いて行ったんだ」
「医師として、今日は解剖をするんだって」
「これは、この世の科学の、革命的な前進になるって」

ーそこで何を見た?

「俺と同じくらいの、小さな男の子の頭蓋骨を割るんだ」
「固いから、物凄い音なんだ、ガガガガ!ガガガ!あの研究室広いからすげえ響いて」
「頭がぱっくり割れて」
「最初は、そのまま針を刺してた」
「だけど、そいつの身体の方がもたなくて」
「(咳払いの音)」
「でも機械が...動いたんだ。」
「神経接続に成功した」
「わざわざ頭開かなくても、あの時だったら遠隔ですら信号はうけとれたはずなのに」
「ただただ、気持ち悪かった」
「グレイズ学院に行って、俺はそいつに出逢った」
「ビックリしたんだ」
「昔一度見た実験体が、動いてた。解剖って聞いていたのに」
「...あの日確実に死んだと思っていたのに」
「授業を受けてやがった」
「生身の姿で!」
「聞いても何も知らないっていうから」
「実験のショックで、全部記憶を失ってるんだと思って」
「前頭葉の方とか、すごいぶっ刺してたし...」
「でも、違ったんだな。あいつに頭ひらいた跡なんかなかった」

「あいつは、天才だった」
「実験とか関係なく、俺はあいつが特別な存在なんだって思ったんだ」

ー他に覚えていることは?

「...ないね」













「クロ!起きろ!」
「いって!」
「寝すぎだぞ。とっとと飯を食ってしまえ」
「あぁー...。寝すぎたのと、昨晩酒を飲みすぎたのとで頭がいてぇ。あと今頭蹴られたぶんで、今日一日は頭痛に苛まれる」
「アホが」
「もうシャワー浴びたの?今日のノルマ終わり?」
「筋トレとランニング、お前の作ったメニューは終わらせた。最近おかげでガッシリしてきたぞ」
「それはようござんした」
「お前もサボらないでやれよ」
「ん〜眠い...っていって!本を足の小指に落とすな!!わかったよ!!」
「健康な身体に、食事と運動は必須、だろ」
「ああはいはい昔はヒョロヒョロでなーんにもできなかったシロちゃんから怒られました僕」
「僕はやめろ」


「おい、誰かきたぞ。...まあ1人しかいねえか」
「どーもおふたがた!シロさん!頼まれてた資材っ!手配できましたよ!!」
「あぁ、ありがとな」
「カインマジでやめてくれ。お前の声でほんと頭いてえ。存在がいてえ」
「なんすか!クロさん今起きたんすか!さっさと顔くらい洗ったらどうです?!なんかこう...色々と汚いすよ!顔が!」
「クソが...俺たちが善意の固まりで置いてやってるっていうのに口の利き方がなってねえな、あ?どの顔が汚いって?」
「わー!すいませんって!でもぶっちゃけクロさん本当よだれの痕がきたねえ...じゃなくて最近マジで変っすよ!...ほら!こないだも暗号解読にあんなに時間かかって本当ヤバかったでしょう?!」
「...」
「最近あったかくなってきたから、たるんでるんじゃないすか!ねえシロさん!」
「あぁそうだな...たるんでるな、最近」
「シロまで言う?」
「たるんでます!」
「まぁ、そうだな、俺、たるんでるかもな...」
「いやぁそこで素直になられてもちょっとキモいっすよ」
「カイン」
「なんすかってうわっちょっとわっ、わっ、わっ!!いでっ!!」
「はは、あんまりうるせーと追い出しちまうぞ...あー俺ちょっと走ってくる、シロ」
「ああ」


「あいてて...初めてアレ、使われました...なんていうんでしたっけ、アレ...拳法、でしたっけ?最近やっぱ、変っすねえ」
「...ああ」



「あちい...」

「(シロは本当に誰とでも会話ができるようになった...シロが人と会話ができるようになって、カインみたいな物好きな奴らが俺らを見つけては接触するようになった...服を着ることも、食事をすることも、運動することもロクにできなかったあいつが...今は何でも平均以上の能力を身につけ始めてる)」
「(ただあいつは、日常生活で、何かに触発されて物を壊すことが多くなった...夜にうなされるのもここ数ヶ月、酷くなってきている...)」

「それがいいことなのか、悪いことなのかも...分からないな」


「帰って、俺が作っている電子マウスをシロに見せるか...かなり念入りに作ったから、今のシロなら確実に壊そうとするはずだ。レベル別にみせて反応の経過を測るか...」


「...?様子がおかしい...電波の音がしない...ファンも動いてない...?まさか、ここの居場所がバレたか...?!」


「...扉の先から音はしないな...」

「...カイン...?」
「クロさ...ん...う...」
「カイン?!大丈夫か?!誰がやった!!!シロはどこだ!!」
「うし...」
「カイン?!」
「後ろ...」
「後ろ...!?」


「クロ」

「...!!!!!」
「そこをどけ。クロ、俺はそいつを殺す」
「...シロ」
「どくんだ!クロ!!」
「(シロが何かを壊すときの目...血が集まって瞳が緑色に...!カインみたいな単純な奴にどうして...!)」
「カイン、てめぇシロに何したんだ!」
「な...何も...いきなりシロさんが...」


「クロ、どけ。そいつは十年前俺たちが殺したテロリストの生き残りだ」



_______

テロリストの話めちゃ面白いのですが、犯罪の描写を書くのが死ぬほどめんどくさくて天才少年の会話1の後、全てはしょってしまってます〜〜
このままではぜ〜んぜん話が面白くないからこの次もざっくりはしょっていきます٩( ᐛ )و笑
次からカインでてきません!殺されてもいいレベルではしょってごめんなさい!!いつか書きます(多分書かない)
だってね!
まーーーだ本筋の物語はじまらないの!!ぜーーーんぜん進んでないのこの話!!!笑笑笑


シロの目は薄緑?青緑?みたいな色で、破壊衝動に襲われると血がのぼって?集まって?赤が混じるので目の色がはっきりとした緑?茶色?緑茶色?に変わります。
色素薄い人は皆ガチギレしたりすると目の色は変わるらしいんですけどアジア人だから分からないですね!!
どうでもいい設定1:シロは昔は薬漬けでしたがあんまり強い薬で副作用もひどく
脳内で軽度の内出血をおこしたのでお父さんが「キャー大変うちの息子が!」となってやめました。実はお父さんは息子が大好きです


このお話結構気持ち悪いです!↓
________


「シロ、逃げるぞ、ここから」
「え?」
「俺と、逃げるぞ。俺の言ってる言葉、ちゃんと理解してるか。」
「逃げるってどこにさ」
「わかんねえよ。でもすぐに逃げなきゃ。逃げなきゃダメだよ」
「なんで?」
「...ここにいちゃダメだ」
「...」
「シロの親父さんは、間違ってる。心も、脳も、その身体までお前を閉じ込めてなかったことにするつもりなんだ。シロ、シロはね、なかったことになんかできないよ。お前はお前なんだから。あんなことをできる人間はこの世に2人といないんだから」
「クロ?」
「シロ、俺はこの世界が嫌いだ。こんな世界だから、お前は閉じ込められなきゃならないんだ」
「俺も、こんな世界は嫌いだ...」
「......シロ、親父さんが呼んでたよ。会ってこいよ。地下研究室にいるって。普段近寄ったらダメだって言われてるんだろ。でも今なら来てもいいって。」
「父さんが?」
「うん。入室コードはお前の...だよ」
「わかった、行ってくる...」

「シロ、ごめん...。お前には、負けるけど、俺も...」




「シロ?!なんでここに!」
「と、父さん何してるんだ?何のよ、用事?」
「こっちに来るんじゃない。出て行きなさい」
「でも、で、でも来ていいって言われたんだ。ん、んん、何なんだ?物凄いに、に、匂い...色んなものが混ざった匂い...それに、音もする...凄く...」
「シロ!でていけ!」
「...父さんはい、いつも...そうやって閉めだして...俺にな、何を隠してるんだ」
「シロ、言い方が悪かった。話なら外で聞こう。こっちに来てはダメだ。目を閉じなさい」
「俺は...クロの言ってることがまだ分からない...けど、と、父さんがいつも俺に隠し事をしているのは、わ、わ、分かる」
「何も隠したりなんかしていない。シロ。動きを止めるんだ」
「うるさい!!」
「シロ!!!」
「...な...」

「何だ...これ...!!!!」
「見るんじゃない。目を閉じろ!」
「何だ...この沢山の機械は...人の体を模しているようで...全然違う...それより...何なんだ...何なんだ、この沢山の脳は!!!」
「シロ!」
「やめろ。俺に触るな、父さん。これは一体何なんだ...!父さんの研究していたことは学院を守るための制御工学じゃなかったのか」
「(まずいな、シロの話し方が通常に戻って、動きも俊敏になっている...嘘をつかずに少しでも簡潔に話をしなければ...)...そうだよ、シロ。僕の研究は、学院とこの世の正義を悪から守るためのものだ。そして何より...君から守るための。学院は、もう手遅れになってしまったけれど」
「父さん、まさか知っていたのか...」
「父さんが知らないと思っていたのかい?親はね、子どもが思っている以上に子どものことを理解しているんだよ」
「そんな...」
「僕がつくった学院の規律、ルール、システム...全てが複雑だった。だから、いつか君があの学院を壊す日が来るだろうと思っていた。予測よりも何年も早かったのは僕の過ちだ。学院を、シロを、守るためにずっと研究していた。ずっと...この生きた脳を使って」
「この脳は、生きてる...針とプラグを繋いで...機械に接続して...こんなに沢山の...一体誰のものを使って...!!!」
「これらはね、お前のものだよ、シロ」
「な...何言って...こんなに沢山の脳が...俺の...もの?」
「お前の脳は、機械そのものだ...その破壊衝動も、外部を対象にさえすれば、人の心を持った素晴らしい兵器となり得る」
「破壊衝動...?何言ってるんだ、父さん...嘘だ...だって俺はここに...」
「でも僕は、自分の息子を兵器になんかしたくないんだ。大事な息子だ。生きていてくれれば、それでいい。お前がどんな罪を犯しても、その誤ちの被害を、この機械が止められるはずだったんだ。でも、お前は僕の予想をはるかにこえていた。こんなに早く世界を壊し始めるとはね。研究は間に合わなかった...
だから、施設にいれて、閉じ込めるほかなかったんだ。このままお前を野ざらしにしていれば、世界が崩壊してしまう。それだけは避けなければならない。
そして、僕は研究を続ける...お前の賢い脳が、生かされることなく、なくなっていくなんて、それはとても勿体ないことなんだよ」
「だ...だからって...こんな...う、ううう」
「シロ!どこに行くんだ!」


「ハァ、ハァ、気持ち悪い、何だ...何なんだ、この匂いは...さっきとは少し違う...何かが腐ったみたいな...すごい匂い...!!!」
「シロ、どこに行ったんだ?ここから早く離れなさい...」
「...何だ...これ...」
「シロ、ここに居たのか。ダメじゃないか」
「父さん...これは...」
「ああ、見てしまったのか...だから目を閉じて早く離れろと言ったのに」
「何で...」
「人間の肉体はよくできたものだ。よくできているからこそ、極めて無駄が多いからね。欲しいのは中央司令部である、脳だけなんだ。脳のシステムと命令を送る電気信号、それだけあればいいんだよ」
「ぐっ...!!!」
「だから、それは遺棄するんだ。脳を取り除いた、お前の身体をしたそれらは」
「...おえっ、うええっ、うえっ」
「シロ、君がその生を宿した時、僕はどれほど嬉しかったか。シロは人工受精で、皿の上で生まれた存在だったんだよ。通常人工受精の胚は2つに切り分けて1つは冷凍保存をする。だが、僕はそこからまた切り分けた。どんどん増えたその胚を、1つずつ冷凍した。大事にね」
「...わるい」
「あの24個の脳は君のクローンだよ。まだきちんと働かないだけでね。人のクローンの生命維持は法律で禁じられているけれど、脳だけならどうかな。
きちんと人として、生み育てたのはシロだけだ。僕は君を愛していて、それとは別の意味でその複雑すぎる脳を、愛していたんだ」
「きもち...きもちがわるい、」
「し、シロ」


「気持ち悪い」














「学院のときと同じ発火音...シロか?まさかシロが...何かを壊すと思っていたが...この家を丸ごと燃やすつもりか?」




「だいぶ煙が回ってる!早くシロを見つけないと...ヤバイな、なんでいないんだ...まさか、ショックでマインドコントロールがとけたりしてないよな...シロ...お前までいなくなったりしないよな...」



「くそッ!外に出ないと、燃えてしまう!!シロ、頼む...外にいてくれよ...!」





「シロ!!シロ!やっぱり外にいたのか!無事か?!」
「あぁ、無事だ」
「シ...」
「俺は壊すよ」
「...」
「それしかできない」
「...俺は...」
「...」
「目に焼き付けておく。忘れない...お前が...壊したこの家を...お前が燃やした...この家の全てを...お前の...意志を」


「クロ...お前は言ってくれた...俺が服もまともに着れない、お前以外の前ではろくに会話もできない、人よりどうしようもないこんな俺を、この世に2人といない天才と言ってくれたな。俺が今までずっと気にしていたことを、周りの大人が見捨てたことを、そんなことはどうだっていいんだって笑ってくれたな。俺が壊したものを、怯えもせず、嫌悪も抱かず、俺のことを破壊の神さまだって言ってくれたんだ。お前が、初めてだったよ...そんなことを言ったのは」
「シロ...」
「父さんだって...父さんだって...俺は...俺は父さんのことを...」

「シロ.........この家を去ろう...振り返らないで...歩こう」






____

Children never know what parents think

 
アイドルの続きを書きたいけど白黒坊やたちが邪魔してくる
______




「おい、シロお前運動しなさすぎだぞ。ご飯も食べてるとこ見たことないし。お前んとこのハウスメイドはどうなってんの」
「ご飯...うーん、最低限食べてる。運動は...してないな」
「うちの使い人が聞いたら卒倒するな。運動と食事は、健康な身体に必須だって」
「分かった、食べるようにする。運動はできないけど」
「この家の周りでも走ってろよ。ここそこそこ広いからいい運動になるよ」
「あぁ、そうだな...でも、もう少ししたら、この家とお別れだ。走るどころか、歩き回ることもできなくなるな...」
「...は?」
「おれ、もうすぐ引っ越すんだ」
「いや、待て、何さっくり言ってんだよ
。聞いてねえよ。どこだよ。どこ行くの」
「分からないけど、俺は海の近くの施設に入るって。ドクターと両親が話し合って、一昨日くらいに決まった。流石に毎日工場の配達ルートを弄って、トーインチョコを横領して自宅に届けるのはダメだったかな。でも、クロも楽しかったろ、あれ、本当面白かっ」
「なんで?お前それでいいわけ?」
「いいって、何が」
「そんなんで、自分の居場所失っていいわけ?親とか、周りの大人とか、お前のこと何にも分かってない奴らにお前を、お前の人生を無茶苦茶にされていいわけ?」
「俺の居場所」
「そうだよ。海の近くの施設、それってつまりイーブス福祉施設のことだろう。あそこは、他者面会も一切禁じられた牢獄みたいなとこだ。あんなとこに行ったら、何にもなくなっちゃうぞ。あそこに行ったら一生、惨めに過ごして死んでくんだよ。周りがどんなうまい事言ったってな、あそこはお前のいていい場所じゃあない。それに、お前の今までつくってたあのコンピュータだって持ってはいけないぞ、なぁ、お前何であんなもん作ったんだ、シロ、何かを変えたかったからじゃないのか、お前を正当に扱わなかった奴らを見返してやりたかったからじゃないのか。シロ。違うのかよ」
「...」
「俺はお前の才能を見抜いてたぞ。このふざけた世界の大人たちにお前を取られてたまるかよ、クソッタレ」
「クロ、俺はどうしたらいいのか分からないよ」
「俺はお前を絶対にどっかに閉じ込めさせたりしない。どうすればいいのか2人で考えるぞ。シロさえいれば、絶対にこの世界は何とかなるんだ...」





「クロ、君は...」
「学院長...いや、シロの父さん」


「何でシロを施設に入れるって決めたんですか。シロは確かに頭おかしいし、普段全然なんにもできないし、ポーっとしてるし、会話もできないし、甘いものばっか食べて糖に犯された馬鹿野郎かもしれないけど、まぎれもない天才なんです!俺は知ってるんです!!ノーシュタイン家の次期当主の、俺が認めてるんです!シロは施設なんかにいるような奴じゃない!」
「施設、といえば聞こえはよくないかもしれないが、立派なところだよ。人もよく、環境もいい」
「そんなこと、関係ないね。俺は、シロを閉じ込めないでくれって、言いに来たんだ」
「君は僕の息子と一緒にグレイズ学院の爆発事件を引き起こした...違うかい?」
「な...」
「グレイズ学院がおとされた後、テロリストグループを拘束し、1人ずつ射殺していった謎の組織が現れた...国の情報が
相次いで盗まれた...それから、多くの文化遺産である古城や遺跡の不自然な埋没...こんなに大事件が続いているのに、どれも未だに真相が明らかになっていない...人々は次、いつその災厄が起きるか、混乱にのみこまれはじめている。国が総力をあげて、世界中に要請して犯人を探しているのに、一向に手がかりがでてこない。まさか、この巧みな技術とあまりに優れた...そう、優れすぎてしまった能力で、事件を起こした真犯人が2人の小さな少年であるとは、誰も夢にも思わないだろうからね」
「...」
「父親である僕が知らないと思ったかな?シロが、どれだけ天才であるか...その能力が、そのぶんどれほど危険であるのかを」
「そんな...でも、あなたは何も言わなかった...」
「僕はね、クロ。知らないふりをしているんだ。僕には責任がある。クロにはまだ分からないかもしれないが、シロの父親であるという責任と、学院をおさめる者であるという、2つの大きな責任がね」
「それで、全てを隠して、閉じ込めるんですか、シロのことを」
「そうだよ。それが一番正しいんだ。守るためにね」
「シロのことを?...自分のことを?それとも、この腐った社会を?」
「...クロ、君にはシロのことを忘れて学院を卒業してもらいたい。君は偉大だ」
「嫌だ!絶対に忘れない。シロは、この世界を変えるにふさわしい人間だ」
「この世界を変えるにふさわしいのは、クロ、君のお父様のような方のことだよ」
「違う!!あんなのはごまかしだ!!皆騙されてる!こんな世界はお遊びだ!!もしそうじゃないなら、どうしてこの世に、こんなにたくさんの犯罪がおきるんだ?どうして社会をよりよくしようとしても、苦しむ人がいなくならないんだ?皆見ないふりをしているだけだ。俺なら、もっと本物の世界を作れる...だから、今ある世界を壊さなきゃいけない。シロならそれができるんだ...あいつは、全てを破壊する、この世界を変えるんだ!!」
「シロが、全てを破壊する、か」
「そうだよ!!」
「君は知ってるかい、クロ。シロの頭の中はね、人間ではあり得ないほどの脳神経細胞ネットワークをもち、我々には考えられないほどたくさんの電気信号が行き交っているんだ。」
「...」
「何回か、シロの、無意識下の脳の生体信号を、アンドロイドが受け取ってどう動くのか、実験したことがある。実験の結果、そのアンドロイドは、どうなったと思う?」
「...!それは...」
「自分を粉々に破壊してしまった」
「自分を破壊...」
「彼はね、自分の事が嫌いなんだ。複雑すぎる自分の脳みそがね。あれは、機械そのものだ。通常の人間の体に処理できるものではない」
「機械...確かに、シロの暗算能力は...」
「小さい頃から、破壊衝動が止まらなかった。情報量に精神が耐えられないんだ。自分を傷つけ、自分を壊そうとした。放っておけばあのアンドロイドと同じことになるだろう。
僕は、シロを守ろうとした。僕の息子を。

色んな機関に協力を求め、時間をかけて、シロのマインドコントロールをした。破壊衝動をうまく閉じ込めた。脳の活動の3分の1以上は意識できなくなったはずだ。だから普段のシロの動きはとても遅く、限られたことしかできない。でもそれは全て強制的に外部から抑圧した結果だ。あれは既存している発達障害の類ではないんだ。
睡眠時にはマインドコントロールが効かないから、自分の身体を傷つけたりしないように訓練もしていった。ほぼ成功だった。ただ...」
「ただ?」
「閉じ込めた破壊衝動は、消える事はない。眠っていたり無意識下の中では、それは絶えず動いている。もし、シロがその目で、感覚で、何か複雑につくられたものを外の世界に感じてしまったら、彼の抑えられた破壊衝動は、一気に爆発して膨れ上がり、目の前にある緻密に積み上げられたものを全てを壊してしまうんだ。それが複雑であれば、あるほどにね」



「クロ。シロはね、全てを壊す神なんかじゃあない。シロは、ただ自分のことが嫌いというそれだけで、自分と似た複雑なものを壊し回ってる、ただの哀しい人間さ」