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待ち合わせで彼女が指定したのは学校の側の坂を下った交差点にあるケーエフシーだった。

「ケーエフシー。。。」

彼女はケーエフシーは世界中にあるし、僕も知っているはずだと言っていたけれど、僕には分からなかった。

 

当日指定された場所に行って分かった。

「KFC。。。」

中国ではケーエフシーと呼ぶのか。

 

デートは首都のバレッタにまず向かった。

珊(シャン)は、サーモンが欲しいので市場に行きたいと言った。

僕は、「サーモン?」と思ったが、マルタの市場にはまだ行ったことが無かったから観光としてもうれしかった。

 

週末のバレッタの街はいろんなところで、露店があったり、路上のパフォーマーがいたりして、にぎわっていた。

 

バレッタの広場、平日はひっそりしていたのに

 

 

市場をぐるっと周っていると、珊はお目当てのサーモンを買って、ビニールに入れてもらっていた。

デートでサーモンを買うというのも斬新だな。

 

そうこうしているうちに、昼時になったので、市場の後ランチに行こう、ということになって、適当に街を歩きながらレストランを見つけた。

 

彼女は注文を取りにきたウェイターに、さっき買ったサーモンを見せて、『これを半分切ってサラダに入れてくれ』と頼んだ。

ウェイターはちょっと考えて、『OK』と答えた。

 

僕は日本では、自分で買った魚をレストランに持ち込んで、メニューに混ぜてくれ、というようなことは見たことがなかった。

そして、それに対しウェイターがOKと答えることも知らなかった。

それに加え、パスタをそれぞれ注文した。

 

 

 

出てきたサーモンがのったサラダは不味かった。

 

サーモンに適当な味付けがされてなかったからだ。

彼女は、これは不味いと言ってほとんど残してしまった。僕はもったいなかったから出来るだけ食べたんだけど全部食べるのは無理だった。

 

サーモンサラダとパスタを食べて、さぁ、っと外に出ると、彼女は、『半分残ったサーモンを冷蔵庫に入れないと腐るから、家に帰る』と言った。

 

唐突にデートは終りを迎えた。

 

ちょっと早すぎるんじゃ!?と思ったが、サーモンを持っていてはデートは続けられない。それは妙な納得感があった。

 

彼女を家に送ることになり、一緒にアパートに向かった。

 

そして、彼女を家に送り届けると、『じゃ』ということになってバイバイとなった。

そこは英語学校から程近い場所で、ホームステイ先にも徒歩で帰ることが出来た。

僕は唐突に終りを迎えた、且つ僕の人生でも初めてな、驚くべきことが多々あったデートを振り返りながらトボトボと帰っていった。

「いったい何だったんだろう。。。」

 

帰りながら、明日、僕は日本に向けて帰路につくこと。そして、飛行機に乗ったら珊とはもう二度と会えないだろうことを噛み締めていた。

 

すると自然と目頭が熱くなった。

なぜだろう。たった2回しか会っていない少女。

いくつもの驚きをくれた少女。

 

ホームステイ先に程近い場所に通学路でいつも見かける電話ボックス。

そこから、何を言うつもりかは決めていなかったが、意を決して彼女にまた電話をすることにした。

 

ホームステイ先の近くにある商店と電話ボックス。ちょっとした広場でいつもここでフラフラした。