お客様からSR311 U20エンジンのチューニングの依頼を受けてまして、作業に入る前に良くご質問を受ける、ロッカーアームの組方(ジオメトリー)についてちとご説明いたします。
まず、ご理解頂きたいのは、U20エンジンとかL型エンジンとかの、ピボットが後ろカムがセンター式のロッカーアームエンジンは同じカムを使ってもロッカーアームのジオメトリ―(傾き)が変わるとリフト量が変わってくると言う事です。
ちと、検討してみましょう!!
検討に使うカムは、77度 9.6㎜カムリフト品です。・・・亀有の77Hカムっす。
タペットクリアランスは0.25㎜で取っています。スプリングはインナーノミで検証していきます。
まずは、かなり前かがみなジオメトリーです。・・・GIO:1としましょう!
上の写真の様にロックナットからロッカーアームまで24㎜位です。
これGIO:1の 上り(開き側)のロッカーアームとカムの当たりの写真。
まだまだロッカーアームのチップとカム先端の余裕はまだまだ余裕ありますね!!!
このGIO:1の傾きであれば更に大きなリフトのカムが使えます。
これ、GIO:1のフルリフト時のロッカーアームとカムノーズの位置です。
ロッカーアーム チップのほぼ後ろ側に来ちゃってますね!!!
バルブリフト:14.65㎜!!・・・スゲーな!!最高です!!
このジオメトリーだとレバー比1.57位いちゃってます!
これGIO:1の 下り(閉じ側)のロッカーアームとカムの当たりの写真。
あ~~!この時点でチップから外れちゃってますね~~!!!
と言う事でこのGIO:1のロッカーアームの傾きはNG!と言う事に成ります。
次に、ちょいと前かがみなジオメトリーです。・・・GIO:2としましょう!
上の写真の様にGIO:2は、ロックナットからロッカーアームまで18㎜位です。
何を変えたかと言うと、2.0㎜のカムタワーシムが入って居たので、それを外しました。
これGIO:2の 上り(開き側)のロッカーアームとカムの当たりの写真。
GIO:2も、まだまだロッカーアームのチップとカム先端の余裕はまだまだ余裕ありますね!!!GIO:2の傾きであれば更に大きなリフトのカムが使えますね~~!
これ、GIO:2のフルリフト時のロッカーアームとカムノーズの位置です。
GIO:1よりはましですが、まだまだ、チップのほぼ後ろ側に来ちゃってますね!!!
バルブリフト:14.15㎜に減りました。ただしまだまだ・・・スゲーです!!
このGIO:2でもレバー比1.52位いちゃってます!
これGIO:2の 下り(閉じ側)のロッカーアームとカムの当たりの写真。
う~ん!まだヤバそうですね!!チップから微妙に外れてる気がします・・・この状態だと多分音でちゃうと思います。私的にはGIO:2もNGですね~~!
最後に!ま~いい感じじゃね~~!的なジオメトリーです。・・・GIO:3としましょう!
上の写真の様にGIO:3は、ロックナットからロッカーアームまで14~15㎜位です。
何を変えたかと言うと、GIO:2に対してロッカーガイドをU20純正の2.0㎜厚のものから、L型純正の4.0㎜厚の物に変えています。要はロッカー先端を2.0㎜高くしてます。
左側が純正品:2.0㎜厚品
右側がL型品:4.0㎜厚品
です。
これGIO:3の 上り(開き側)のロッカーアームとカムの当たりの写真。
GIO:3位になると、チップとカム先端の余裕はいい感じになってきます!まだ行けると思いますが、この位がいい感じだと思います。
これ、GIO:3のフルリフト時のロッカーアームとカムノーズの位置です。
GIO:3いい感じな位置になってますね~!
バルブリフト:13.25㎜に劇減です!!
このGIO:3でレバー比1.42位いです。
まあ、この位が純正のレバー比に近いですのでこの辺りが妥当なんだと思います。が・・・ちとバルブリフト残念ですね~~!まあこんなもんです。
これGIO:3の 下り(閉じ側)のロッカーアームとカムの当たりの写真。
この位チップに乗ってればOKでしょ!!
やっとOKなジオメトリーでましたね!!!
U20にハイカム入れた時はこんな検討も必要になってきますので意外とメンドクサイですよ!!
因みに、L型フリークのあいだで、まことしやかに1軍ロッカーなる物がリフトが高く出来る!!と言う事で、高値で取引されていると聞きます。・・・要は、上記にまとめたロッカーのジオメトリーが理解できている方は1軍ロッカーは何が違うか直ぐに判る筈です。要するにロッカーアームのチップ位置に対して、ピボットのSR(球)の加工位置が奥にばらついた物が1軍になってるだけなんです!!私なら2軍を安価で買ってロッカーガイドを薄い物使てやりますね~~!これで同じ現象になりますので!!
それと、ロッカーアームの前傾きがきついとカムの回りが重い!と言う方もいますが、これも当たり前なんです!!上記の様に前傾ききついとバルブリフトが上がるんですから!・・・要するにレバー比が上がってくる訳ですから!!!
後ろ傾きにすることで、カムの回りは軽くなりますよ!でも、引き換えにバルブリフトを損してる訳です!
上記の様に、弊社では、カムロブの下り側で、カムがチップから外れないギリギリを狙った極力前傾斜のロッカーアーム位置が最高!!こんな位置に調整しています。
U20やら、L型やらはこんなめんどくささが有るから面白いんですよね~!!
では!!