フルムーン・パーティー 第8話 | 大村あつしオフィシャルブログ「ボクは不死鳥」Powered by Ameba

フルムーン・パーティー 第8話

微笑みの国へようこそ(1)

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8月の満月の日の前日、つまりは、フルムーン・パーティが開催される前日、俺とサクラはバンコク行きの飛行機に乗り込んだ。

6時間ほどの空旅を終え、入国審査と、日本円の一部のバーツへの両替を済ませ、ロビーへと向かう。

4日間、男2人の気楽な旅なので、荷物も着替えとビーチサンダルとカメラくらいしか持って来ていない。

小さなバックパックを肩から下げ、都バスのターミナルへと向かう。

今日の宿を予約してあるのは、フルムーン・パーティが開催されるパンガン島の隣の、サムイ島という場所だ。

さすがに人気のイベントだけあって、パンガン島の宿はどこもいっぱいだった。

サムイ島には、バンコクからさらに飛行機を乗り継がなくてはいけないのだが、せっかくタイに来たのだから、ちょいとお茶でも飲んで、バンコク観光でもしていこう、というわけだ。

それにしても、この空港は綺麗だ。

俺は珍しさも手伝って、きょろきょろと辺りを見回していた。

「どうしたよハジメ。早速、Mr.フレグランスでも探してるのか?」

「バカ。違うって。なんか恐ろしく近代的っつーか、綺麗な空港だなあ、って思ってな」

「ドイツかどっかの建築家がデザインしたらしいぜ。開港したのが、たしか一昨年かな?」

「それでか。俺はもっとこう、素朴な感じかと思ってたよ」

実はタイというと、いわゆる「自分探し」のバックパッカーが出かける素朴なイメージが強かっただけに、ちょっと期待外れな気持ちがふつふつとしていた。

だが、空港から外に出て、太陽の光を見てその気分は吹っ飛んだ。


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