手品はこういう手品、これからやりますよとはまず言いません。言ってしまったら、興味半減します。最後のオチなんかいったら大変です。最後まで興味を持たせなければなりません。

 

私は短歌の勉強を今していますが、短歌って、手品に似たところがあります。短歌もすっとわかっては感動もないでしょう。何を言ってるのか、ちょっと興味を引き摺らせて、最後でああそうかと思わせるようなところもあります。もちろん全部が全部そうではりませんが。

 

意味深遠な短歌は私にはできません。ごく日常のありふれた一端をありふれたことばで綴っていこうと思います。手品の手法を参考にして詠おうと思います。

 

私の歌の素材は、手品、公園、子どもです。その一つが以下の作品です。

 

廃品回収のあった日、古新聞などを回収場所に持っていきました。顔見知りの小学生がいたのでほんの少し声を掛けました。それだけのことです、この歌は。

 

「ごくろさん」小学生とわずかでもことば交わせる廃品回収    神田民司

廃品回収がオチです。9月26日、朝日新聞東海歌壇 加藤治郎さん選