手品(マジック)と短歌、よく似ているんです。初めと終わりがあって真ん中があります。これからなにがはじまるかなあとおもっているうちにうん、うん、これは面白そうだなあと思い、何だ、そういうことだったのか、まいったなアと腑に落ちる、そんな心の動きがとてもよく似ています。歌舞伎?などで使われる序破急です。タンタンタンとリズムよく、マジックも短歌も進むと気持ちよいものです。
トランクに手品道具を詰め込んで施設に人の笑顔見に行く 神田民司
もう施設に手品しに行くことはないでしょう。退職して15年、たくさん施設でマジックさせてもらいました。利用者さんの笑顔に会いに行ったようなものです。皆さんの笑顔は忘れないでしょう。だって、教え子のこと忘れてませんから。
㋄12日朝日新聞 朝日歌壇 佐々木幸綱さん選