このブログは、この頃、大体短歌、時々マジック、ひょっとしたら子どものことの順で、当初の計画から離れてきました。いろんな事情があってのことです。ご容赦ください。

 

それでまた、短歌のあれこれです。ブログに綴りながら短歌勉強です。

 

隣りより朝の勤経聞こえ来る独身和尚の風邪癒えたるらしも      西村宗子

朝=あした

勤経=勤行ごんぎょう

独身和尚のことを気にしている作者がいいですね。結句が9文字で字余りですが、現在推量感嘆という助動詞を三つ使っているのでこうなったのでしょう。字余りがいいか悪いかわかりません。

 

目をあけて鵙鳴く声をきく朝明ほとほと秋はきはまりにけり     小沼徳枝

鵙=もず

朝明=あさけ、夜明け方、しらしらとする頃

ほとほと=ほとんど、もうすっかり、決まる

朝目を覚まし鵙の声を聞いて、ああすっかり、秋になったことだなあと感慨にふけっています。何でもないことですが、季節が感じられ、秋を待っていた気持ちが伝わります。

 

むしむしと暑くなるべし朝より電柱に来て蝉の鳴きたつ        大阪泰

朝=あした

鳴き立つ=声を挙げて泣くこと、立つは声を挙げること

木の幹でなく電柱に蝉が取りついて鳴いています。すっかり夏ですね。

 

幻の魚と言はれ姫鱒の魚はうまらにわれの食しつつ          小林歌子

姫鱒=ひめます、美味だそうです。

うまらに=味のよいさま。うまそうに。

つつ=継続、しているの意

私は川魚、苦手ですが、姫鱒はおいしいのでしょうねえ。おいしさが伝わります。

 

吾が歌友よ作歌は慰みか勉強か勉強なれば休まず作れ        吉川汀花

慰みか勉強かとなれば慰みの面も強いですが、おっしゃる通り、休まず作り続けます。

 

うちつけに「せんせ」と呼んだ店員を一分見続け「おう」と肩寄す  神田民司

今日、7月10日付朝日歌壇、佐々木幸綱さん選。

朝日新聞に採ってもらう事、夢でした。慰みでもあり人生勉強でもある短歌、ずっと続けます。

 

上4首、奈雲行夫著、「作歌と鑑賞のための短歌の文法」からの引用歌です。