私たちはどんどん年を取っていって、子どものようなきれいな心になっていく、子どもに帰っていくのでしょうか。子どもしかるな来た道じゃ、年よりしかるなゆく道じゃ。デイサービスにうかがって利用者のお年寄りの皆さんとお話しするのが大好きです。
趣味の手品を見てもらうのですが、手品そっちのけで、みなさんと会話を楽しみます。今日も岡崎南の家庭的な雰囲気の施設で手品とお話をみんなで楽しみました。話し上手は聞き上手で、みなさんにたくさんしゃべってもらいました。私は人生経験豊富な皆さんの話を聞くのが大好きです。
そのお話は長くなりますので割愛して、今日のマジックでとてもうれしかったこと。
私は「青い海、白い貝殻」というマジック(なんという仰々しい、とってつけたようなタイトルか)をしました。1枚の青い紙を丸めると中から白い貝殻落ちてくるだけのいとも簡単なマジックです。(簡単ですが、私が考えたマジックです。誰もしていません。あまりに簡単すぎて誰もやらないでしょう)
前列、端の女性のところへ行き、「海からの贈り物です」と言って、女性のやせた手を取って、手のひらの上に青い筒をかざします。すると、中から白い貝殻が落ちてきます。
「お母さん、どうぞ。これは幸福の白い貝殻ですよ」と、お母さんの手を包むようにして言いました。すると、その女性、ぽろっと一つ涙を落とされたのです。
「この貝、蒲郡でお母さんのために取ってきましたよ」そう言うと、今度は子どものような優しい顔でにこっとされました。うれしかったですねえ。ジーンときました。マジック、やっててよかった。ほんとにそう思いました。
皆さんと一緒にお茶をいただいてから、帰るとき、11人の利用者のみなさんから握手を求められました。一人の方が「あったかい手」と言ってくださいました。
いえ、いえ、私は利用者の皆さんからもっともっとあったかい心をいただきました。ありがとうございました。