JAPAN THRICE-OPENDは、日本語「開国」(1988年ミネルヴァ書房)の英訳版です(1992年ニューヨーク)

 

著者の伊部英男は、旧厚生省で年金局長・社会局長を務めた。

「国民皆保険」施行時1961年の担当課長(保険局国民健康保険課長)だった。

 

本書p123の救護法の個所で

「救護法が、当初の予定通り、1931年4月に施行されておれば、満州事変(1931年9月18日)への圧力は緩和され、その後の日本の歴史も変わっただろう」と指摘しています。

現代風に読み直すと、

救護法(現在で言えば「生活保護法」)の実施が遅れなければ、国内の貧困を海外への移民で解決しようとする圧力も弱まり、その後の太平洋戦争へと進むこともなかったのではないか?」という仮説ですね。

 

このことを今日思い出したのは、

「コロナ対策の経済面・保健衛生面の対応に加えて、現代的な意味での普遍的な貧困救済法を検討すべき時期ではないか?」という問題意識が沸いたからです。

国際的には、「普遍的ベーシックインカム」の構想につながります。

 

本書は、もともと、これからの日米関係を考えるに際して、幕末、1945年に次いで「第3の開国」が必要だとの著者の構想をアメリカ人に伝えるために英訳を企画したのです。

 

この「救護法」のほかには、

明治維新の時の、「恤救規則」(救貧法)1874年 p59

敗戦直後の、「生活保護法」1946年 p209

の制定経過にも触れています。

 

政治・経済・外交の身ならず「社会問題」の分野での日本のあるべき姿を探るには国際社会の動向を広い視点で踏まえることが必要なことを本書は示唆しています。

今日は、日米首脳会談がアメリカで行われた。