山川出版社の県史シリーズの鹿児島県版は、2冊あります。
原口虎雄による1973年版。2段組みで本文266ページ。
巻末資料が96ページあります。古本屋で買った。
原口泉による1999年版。1段組みで320ページ。
資料編は45ページ。原口は、冒頭の総説10ページだけで残りを4人で分担執筆です。
鹿児島県版だけではなく、厖大な新資料・新遺跡の発見を1人でフォローすることは無理があり、各県とも新版は共著になっている。
両著を比べると、旧著の方が断然「おもしろい」。原口虎雄は歴史学専攻ではなく、法学部政治学科の卒業だ。郷土鹿児島への愛情が溢れている。
出版当時59歳、鹿児島大学の教授だったので旧著の権威は一世を風靡しただろう。
残念ながら、幕末の贋金づくりの主犯を家老の調所広郷とする俗説を紹介したp189-190したことの悪影響が長く残ったりした。このことの誤りは、のちに徳永和喜の実証的な研究で否定されている。
新著の原口泉編は、古代・中世・近世に第一人者をあてている。
編者が戦前からの「鹿児島県史」全5巻を評価している(あとがきp322)のは残念だ。どの県でも、戦後の研究成果と価値観の転換を織り込んだ県史を編纂刊行しているからだ。
すでに新著が刊行されて20年を過ぎている。新しい概説の企画があるのだろうか?
三木靖先生には、かなりの部分をカバーした概説がある。
近世を中心に精力的に著書を出版されている新名一仁先生などによる新々版を期待します。
原口泉先生は、虎雄先生の御子息です。



