診察室に入るとおばあさんの医師、看護師2人がいた
はじめは医師が父に問いかける形で診察がはじまった
しだいに話は通院していた病院からの推薦状をみながら、これまでの経緯、今の状態、うちの事情などを問われるままに母と私で答える形になり、母から聞く話の中には私のしらないこともいくつもあった
私は父の前で次第に興奮して話す母の言葉に、父が反応していることが気がかりで、父が苛立たないよう声かけをしながら話に加わっていた
別室で父のいないところで話すことを、はじめから提案しなかった事をどんなに後悔したか
話が夜中に母に暴力を振るう時のことに及んだ時に、父が「あれ?チョットまってよ。何?これは俺のことを話してるわけ? イヌのことじゃないの?」と言いはじめた
先生が「そうよー!○○さんの事よー!興奮しないでー!今、どんなんだか話聞いてるんだからー!」と言うと、父は席を立ち帰るそぶりをした
男の先生も加わり、看護婦さん先生入り混じって席に座らせようとするが興奮は益々まし、
母に「なんで俺はおかしくないのに追い出そうとするんだ」「俺はイヌに暴力ふるったことなんてないでしょうよ〜」「なぁ、仲良くやろうよ、旅行でもしたりしてさぁ〜!なぁ?」などと言いながら帰ろうともがき、
先生は「こりゃあダメだ!お薬使おう!すごい力だ!おーコワイ!」「ネー!怒んないで!こうなっちわゃうから、ここに来ることになったんでしょう!」など言われ
「強制入院になりますから、奥さん、ココにサインして!」といわれて母はサインをし、興奮状態の父がコワイと何処かに行ってしまった
私は何とか父を落ち着かせたくて、怒らないで?ちゃんとパパの話も聞くから!お部屋に移動してゆっくり聞くから車椅子乗って!そうすれば注射しないから
そう言い続けたが、言う側から車椅子やストレッチャーに数人がかりで押さえつけられ、抵抗し、最後には無理やり服の上から注射をされ、部屋に着くころには朦朧とした状態になった
注射の針は抜くと折れ曲がっていた
母は話の続きを看護師たちとカーテンで仕切られた部屋でし、他の医師や看護師も部屋の準備などに追われ、私と父だけがガラス張りのナースステーションに残された
父は朦朧てしながら「おまぇも…とうとう…そっち側の人間に…なっちゃったんだな」と言った
「そんなこと無いよ…私はわたしだよ…いつまでたっても娘の私だよ」と言うと
「そんなことないよ…そっち側になっちゃったんだ」
それを最後に意識を失ってしまった
涙が溢れてきて、しばらく止まらなかった