父が眠ってしまった後、病棟の看護師と相談員のような人と話の続きをした
父がどんな人か、これまでどんな経歴をもっているのか
仕事のこと、家族のこと、孫のこと、食事の好き嫌いなど様々
入院費用は月4万円代だろうということ
入院期間は長期療養型病院なのでいつまででもという事を聞く
当初、できれば特養に入れたいと探したが無理で、とりあえず申し込みだけはしている事を伝え、入れることになったら退院させたい事を伝えた

病院を後にし、母と昼食をとるために和食レストランによった
私は喉の奥に石ころが詰まっているような気分で、あまり話すことが出来ずにいた
席につくと母が
「何とかなって良かった。ホッとした〜、久しぶりにたくさん食べよ!」
と言った
危うく泣きそうになった
私はとてもそんな気分じゃなく、少なめのメニューにした。すると
「あら、そんなもんで足りるの?」
と母に言われ、やっとの事であまり食欲が無いよと伝えた

母からは10万円くらいしか父の為に用意できないと聞いていた
それではグループホームも無理だねってケアマネと話し合い、いつ入れるとも分からない特養に申し込んだ
子供3人の大学&高校進学を控え、学費や予備校費、同居する義父母との将来など美容院代もケチってやっとやり繰りしている自分には、とても援助はできない
情けなくて悲しかった

食事が来ると母は収入の話を始めた
家業は弟がつぎ、両親と同居しているので父と母は弟から給与をもらっている
年金も入る
母は月に30万しか手元に入らないと言った
余るから貯金できるとも言った
自分が動けなくなったら施設に入れるように貯金しなくちゃとも言った
30万…例えば16万グループホームに払っても14万残る
父もいなくなり、母1人が月に14万て充分すぎるよね
私の初任給、そのくらいじゃなかったかな

私の中で急に怒りが湧いてきた
父は…捨てられちゃったんだと感じた
私はその片棒を担いだ気分になった
父の言う通り、そっち側の人間になってしまったんだ

帰りの車で1人になると、ひとりでに声をあげて泣いていた
オイオイと泣くってああいう感じ?
幼稚園児のようにワーワーいいながら泣いた

母にとってはもう父はモンスターだったのかもしれない
限界だったのだろうと思う
実際、話していても情緒不安定な面が見られて心配していたくらいだ



家に戻り、夕飯の準備をし、子供を駅まで迎えに行っていた時、母と同居する弟から電話がかかった
開口一番
「ママは充分頑張ったんだからパパが可哀想とか言うなよ。これが最善の策だったんだって言ってやるんだよ」と言われて、また涙が溢れた
「そうは言っても…あの入院する時の様子は…可哀想だったよ…」
やっとそれだけ言うのが精一杯だった