7月14日午前中に成田を発って、ブリュッセル経由で1日近くかかってベルリンへ。衆議院厚生労働委員会で欧州各国も社会保障制度及び労働事情調査に参りました。

7月15日(金)
ルッソ・ストロッペ連邦保健省事務次官との会見。
ドイツの介護保険制度は保険料のみで運営されていて、介護の100%をまかなうのではなく部分介護制度との説明を受けました。平均で7割程度。残りは年金額の高い人は自分で負担し、支払えない人は国が出しています。日本と同様、介護職員の確保が課題。2~3万人不足している。介護職の中身が変化していて、新しい法律で、看護と介護、一つの専門職にしていこうという流れがあるそうです。
私は、世界一の長寿国である日本は「健康寿命伸ばす」ことが重要。ドイツにおける予防医療、介護予防について質問しました。ドイツでは、昨年、10年かかって「健康増進及び病気予防を強化する法律」いわゆる予防法が成立しました。これにより年齢を問わず、暮らしている生活空間で予防措置を講じることに。。
予防措置に対する予算が7000~8000万ユーロだったものが、5億ユーロに引き上げられます。



このほか、老老介護や日本の社会福祉法人制度や、介護保険料などについて活発な議論をしました。保健省に掲げられている腕を持ち上げている元気な高齢者のポスターが印象的でした。



フランツ・クニープス企業疾病金庫中央連合会会長と昼食をとりながら懇談会。
日本はドイツの介護保険制度をモデルに介護保険制度を作りました。同会長からも、少子高齢化、資源が豊富でなく人が資源等々、ドイツと日本の共通点が語られました。





「予防法」が成立し、大企業と連合会との予防のスキームを作り、そのベストプラクティスを中小企業へ広げていく。
また、病院計画、病院改革についても、小規模の病院が多く、集中していくことが課題だと。。
現在、土日は大学病院で外来を受け付けてくれるため、軽い病気でも、土日に大学病院へ行く傾向があるとのことでした。
私は、日本では紹介状なしで大学病院へ行った場合は、例えば5千円を負担しなければならないという制度を作ったと説明しました。すると、そんなことをしたら、大臣は誰からも口をきいてもらえなくなると。。。
ドイツ人のマインドを変えなければならないと力説しておられました。

その他。医療・介護保険について、様々な角度から議論をしました。

ベルリン市内にある高齢者施設「ベーテル・フリードリッヒスハイン」を訪問。



広々としていて、緑が多く、きれいなお花もあちこちで咲いてる施設。入所している方に快適かどうか聞いてみました。体をこわし、ここに入れてよかったと話して下さいました。食事のメニューも工夫しています。費用は要介護度により段階があります。
私は、日本では病院で亡くなるケースが多いですが、看取りについて伺いました。
この施設では、年間、40人から45人受け入れているということは、それだけ亡くなっているということ。終末期医療専門の医師と連携していて、意思表明を尊重するとおっしゃっていました。





ドイツでは、高齢者施設は教会が運営しているところが多いそうですが、会社の参入をどう思うか。
また、人材の育成に関しても現場のご意見をききました。介護職員の社会的評価、給料が低いのが課題だと。。
看護師、小児看護師、高齢者介護士のジェネラリストを養成して、他分野への転職をしやすくしていく必要があるとのお答えでした。ここには研修生もいました。

夜は、ドイツ大使公邸で八木毅大使よりブリーフがあり、イギリスのEU離脱問題や難民、労働問題など、様々な意見交換をしました。