『FRIDAY』2023年7月7日号

《2年半”教主”が 不在》 大混乱の『PL教団』を牛耳る 「先代の妻」の正体

 

一部の信者が「献金を返せ!」と訴訟を起こし、 文化庁への「解散命令の請求のお願い」まで出した

 

「PLタワー」と呼ばれる教団の象徴「大平和祈念塔」。信者数は約67万人(’22年版『宗教年鑑』)とされている
「PLタワー」と呼ばれる教団の象徴「大平和祈念塔」。信者数は約67万人(’22年版『宗教年鑑』)とされている

 

 「いま信者の一部が教団を相手取って、献金の返還請求訴訟を起こしています。宗教団体に対して信者が『カネを返せ』と訴えるという、旧統一教会と同じようなことが起きているのです」

 そう語るのは、大阪府富田林(とんだばやし)市にあるパーフェクトリバティー(PL)教団の関係者だ。PL教団は、清原和博や桑田真澄らを輩出した名門野球部(’16年に休部)などで知られる、PL学園を運営する宗教法人だ。そのPL教団にいったい何が起きているのか。

 

 信者たちが教団を提訴したのは昨年11月のこと。前出・関係者が語る。「9名の信者が自分たちが教団に献金したカネの返還を求めています。教団は’20年4月に『新御正殿建築献金』という名目で献金を呼びかけ、同年12月までに総額約30億円を集めました。しかし、実際に新御正殿が建設される様子はなく、それに反発した信者が献金の返還を求めているのです」

 献金の返還請求訴訟だけではない。一部の信者から、昨年12月には大阪国税局に「税務調査の依頼」、そして今年5月には文化庁に対して「解散命令の請求のお願い」という文書まで出されている。「新御正殿だけでなく、教団は敷地内の埋め立てなど大規模な工事を行っているのですが、これらの税務申告がきちんとなされているのか不透明な部分がある。国税が教団に最後に調査に入ったのが20年以上前。それで、国税にも動いてもらわなくてはいけないということで文書を提出したのです」(同前)

 FRIDAYが取材を申し込むと、大阪国税局は「納税者の個別情報に関わってきますので回答は差し控えさせて頂きます」、文化庁は「御指摘の標題の書面が届いていることは事実です」と回答した。

 

 なぜここまで信者たちは教団に反旗を翻しているのか。信者の一人が話す。「’20年12月に教主だった御木貴日止(みきたかひと)氏が他界し、PL教団には約2年半にわたって教主がいません。代わりに”教主代行”という立場で実質的に教団を取り仕切っているのが、貴日止氏の妻だった美智代氏。彼女のやり方や方針に多くの信者が反発しているのです」

 美智代氏の年齢は60代前半。元は貴日止氏が学生の時に、彼の「お世話係」として雇われた女性だったという。「その名の通り貴日止さんの身の回りのお世話をしていました。そのうちに貴日止さんと美智代さんが恋仲になって結婚しようとしたのですが、当時の教主がこれに猛反対した。紆余曲折ありましたが、’84年に二人は反対を押し切って結婚しました」(同前)

 

 ’07年に貴日止氏が硬膜下出血で倒れると、美智代氏の発言力は大きくなった。それまで教団の資産の管理は教主と信者の団体が協議して行っていた。しかし、美智代氏は信者の団体をつぶし、以後、教団の土地や建物がどんどん売却されているという。’16年にPL学園の野球部が休部になったのも、彼女の意向が大きかったと言われている。前出の信者が続ける。「PL学園の茶道部や華道部も無くなりました。とくに茶道は『PL茶道』と呼ばれ、長い伝統があった。関西ではとても人気があった『PL花火』もコロナ禍を理由に3年連続で中止になっていますが、今年も開催は難しいでしょう。教団や信者、地域住民の方々が大切にしてきたものが次々と無くなっているのです」

 

 「人生は芸術である」というPL教団の教義に反するような方針、そして献金の問題などを理由に、信者たちが抗議の声をあげているようだ。PL教団に取材を申し込んだところ、「お答えは差し控えさせて頂きます」と回答があった。

 旧統一教会の問題以降、「宗教法人と信者の特殊な関係」について注目が集まっている。PL教団にも、説明する責任があるのではないか。

 

御木貴日止氏(奥)と妻の美智代氏。’14年8月11日付の『芸生新聞』(PL教団の外郭団体が発行する新聞)より
 
御木貴日止氏(奥)と妻の美智代氏。’14年8月11日付の『芸生新聞』(PL教団の外郭団体が発行する新聞)より

 

『FRIDAY』2023年7月7日号より

 

 

 

 

 

 

 

 

『FRIDAY』2023年7月7日号