チェンラーイの風を聴け №39 | furutetsuchan の『タイ便り』

furutetsuchan の『タイ便り』

西暦2000年、インド行きのエアー・チケットを買うつもりで独りバンコックのドーン・ムアン国際空港に降り立ち、北タイで見事に沈没した典型的な元バックパッカーが、タイにまったく興味のない人にもちょっとだけタイという国を知ってもらいたくて送る、『タイ便り』

 朝の5時半に目が覚めた。リウに「テツヤー、お願いだから部屋の中でタバコを吸わないで。」と言われたので、ドアを押して表に出た。澄んだ朝の空気が心地よく、右隣の家の庭でニワトリが鳴いている。タバコに火を点けると、眠そうなヤーム(夜警)が受付のドアの鍵を開けてくれた。


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 以前宮崎氏から教えてもらった美味しいお粥屋さんに行くことにした。そう言えば、宮崎氏はどうしたのだろう。もうチェンラーイに来ているはずなのだが、一向に姿を現さない。彼を探してDoi Tung Coffee(ドイ・トゥン・コーヒ-)を二度ほど覗いてみたがいなかった。オーキッズ・ゲストハウスで(今迄只だった)貸し自転車代20฿を取られたショックから、今度はスクニランド・ホテルあたりに泊まると言っていたが……。


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(「まいど企画」&「なんちゃって日本食堂」の宮崎氏。)


 ケイと市場の中に入り、記憶を頼りにお粥屋を探した。

「お粥なら、あのお店じゃないの?」

 ケイが指さして言ったので、奥の方へ歩いて行った。

「ああ、そうだ。憶えてる、ここ、ここ。」

 ジョーク・ムー・サイ・カイ(卵入り豚肉のとろとろ粥。)を食べた。千切りの生姜が味にパンチを効かせていて実に美味い。ビールを飲みすぎた胃に優しい朝飯だ。


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(洗い髪で、ちょっといい女に見える。インド人ではありません。)


 メーコック川の河原で時間を潰してから、ナムラットの雑貨屋に行った。胃にはよくないと分かっているがビールを買い、「おばちゃん、グラス二つ。」と言い、勝手に冷蔵庫の氷をグラスに入れる。


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(綺麗な小石を探す私を嘲笑うケイ。)


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(私より酒に強い女というのも、どうかな?)


「ミ-(局長夫人)の家に行こうか?」

「テッチャンが行きたいんなら、いいけど。」

 ところが、ミーの家が見つからない。雑貨屋のある通りのすべての路地を右折して確かめたが、どこにもない。まるで狐につままれたようだ。今度はケイを雑貨屋に残して一人で探してみた。やはり、どこにもない。不思議だ。こんなこと、あり得ない。さては、ミ-に化けた雌狐だったか!

 まあ、いい。バーン・デーンでネーンが待っている。ヘルメットを被り、裏道から国道1号線に出て(警察の検問には絶対引っ掛からない。)突っ走った。


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 ネーンとメー(母)が店で待っていた。

「パパ、何を食べる。」

 以前のように、ネーンが私のことをパパと呼ぶ。書いたことがあるが、バイク事故で亡くなった実の父親と私が重なるらしい。

「ポー(父。ここでは養父の意。)がね、テッチャンが来たって言ったら喜んでたわよ。」

 ポーには、あまり好かれてないと思っていたが、そうでもないようだ。

「これ、誰が食べたの。」

「ポーよ。テッチャンもカブトムシ食べる?」


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(お前ら、オレのことを憶えてるのか?)


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(肩にとまったカブトムシ?)


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(味付けしてから食べる?)


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(実に美味そうだ。)


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(釣り堀を見に行った。ゲームがこの写真を見たら、どう思うだろう。)


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(私に言わせれば、素人だね。)


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(ああ~、釣りがしたい。)