「日本」の国名の最古の例として注目される「祢軍墓誌」

(原文では、「祢」は「禰」)

 

果たして最古の例なのか。私の説明動画を一番下に貼りつけています。

 

その前に「祢軍墓誌」が注目された状況などを簡潔に書いておきます。

 

祢軍墓誌  全文 

「大唐故右威衛郎将軍(ゆうじゆえいろうしようぐん)上柱國(しようちゆうこく)禰公(でいこう)墓誌銘」

 

 

 

祢軍(でいぐん)は、百済の高官で、佐平という最高位の官職だった人です。『日本書紀』にも登場します。

 

白村江の戦いで百済が唐に負けた後、祢軍は唐の高官になりました。

そして西安にある祢軍の墓から墓誌が見つかりました。

 

この墓誌は通称「祢軍墓誌」(でいぐんぼし)と呼ばれています。

 

朝日新聞が、2011年10月23日付けで、その祢軍墓誌に「日本(ママ)」という二文字があり、それは日本の国号の最古の用例であるとして報道しました。

                                       (色づけは泉城による)

 

この記事が正しければ、「祢軍墓誌」「日夲」が金石文による確実な日本国の国名の初出ということになり注目されます。 

 

ただ、この新聞記事で気をつけなければならないことがあります。

 

この朝日新聞の記事掲載は、いかにも朝日らしい切り取りがされており、本来は、于時日夲餘噍,拠扶桑以逋誅」であるところ、最初の2文字をカットして   日本餘噍,拠扶桑以逋誅」と記します。

 

また原文にある「日夲」の文字ではなく、異体字の「日本」の文字を使用しています。

肝心なところは、必ず原文どおりに書かなければなりません。

原文改定は厳に慎むことは、先師・古田武彦の教えで、学問一般に通じます。

 

朝日新聞の記者や、この記事に掲載の王連竜や氣賀澤保規明大教授、鈴木靖民國學院大教授の見解がこの記事のとおりであるならば、文字を正確に読まないタイプとお見受けします。

 

こうした学者の意見に私は疑義があります。

 

「祢軍墓誌」について詳細にわたり記しますと、逆にわかりにくいと思い、私の考えを動画にしました。簡潔に5分37秒でお話ししていますので良ければお付き合いください。