感覚を磨く
体の状態を把握するには、手や足から伝わってくる感覚に頼るのが一番正確です。筋肉や靭帯が緊張状態にあれば、固くて弾力が無く感じ、緊張が緩和すれば、柔らかくて弾力が出てきます。関節も同様で、癒着して固まってしまうと、動きが悪くなって可動域が狭くなり、周辺の筋肉や靭帯が緊張してしまいます。また骨を触った感覚も、骨々しく感じたり、ホワッと柔らかく感じたりします。骨を触っているんだから、「骨々しい」 のは当たり前じゃないですか?と聞かれることがあります。当然骨を触っているので、硬くて当然なのですが、硬い中でも微妙に柔らかかったり硬かったりします。例えば、頭蓋骨は複数の骨が連結して構成されています。頭蓋骨の頬骨(耳の前にある横に走っている骨)を両手で挟んで加圧してみると、良い状態にあれば、わずかにたわむので、柔らかく感じます。頭蓋骨が歪んで硬くなると、加圧してもたわまないので、ガツンとした当たりになります。よって、骨々しい感触というのは、関節がズレて骨の表面を覆っている筋肉が緊張した感触であり、関節が癒着して動きが悪くなって、たわみが少なくなった感触なのです。たわみが少なくなるから、当たりがシャープに感じたり、ガツンとした当たりに感じたりするのです。頭蓋骨調整をする際に、調整前後での硬さの差を患者さん自身に確認してもらうことがありますが、ほとんどの方が、この差を感じることが難しいと言われます。この硬さの差を感じられるようになるには、悪い状態と良い状態を比較することが重要です。相対的な差ですから、当然両方を知っていないと、理解は出来ません。感覚的なものですから、すぐにわかるようにはならないと思いますが、普段から触って確認するクセを付けていると、だんだんとわかってきます。自分自身の体をいろいろ触ってみて、施術を重ねるごとにどう変化していくかを確認することは重要です。骨盤、頭、肩、腕、首、足首・・・など、触って自分自身の体の状態を把握することで、自分の体が良くなっているのか、横ばいなのか、下降気味なのかがわかります。手の感覚を磨いて、自分自身の体の状態を把握できるようになりましょう。