今年も山科のまちにツバメがやってきた。(1) | ふるさと会のブログ

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山科の魅力を山科の歴史を通じて記録しようと思います。

ねこまねき

山科には毎年、3月の終わりから4月のはじめにかけての1週間ぐらいの間に、必ずツバメがやってきます。あちこちの通りや住宅地にツバメの村があるのです。

「初ツバメ」という言葉は俳句の季語にもなっているようですが、暖かくなり、桜も咲き始め、すっかり日が長くなった夕暮れどきなどに、その年、はじめてのツバメを、2~3羽、見かけます。するとその翌日か、翌々日には、団体が群れで到着して、あたりはすっかりにぎやかになっています。

 

日本列島、近畿地方に来るツバメたちは、フィリピン、インドネシアやマレー半島あたりで冬を過ごした個体で、春から夏にかけて、繁殖と子育てのために移動してくるそうです。

グーグルマップを開き、ツバメの気持ちになって宇宙から地球にズームインして眺めてみると、南の島を出発したツバメの一群は、フィリピン海をひたすら北上。昼も夜も、雨の日も強風のなかも海の上を飛び続けます。何千、何万という個体が大きな黒い塊になって必死で飛び続けるそうです。生体としては10年以上も生きる能力があるのに、ツバメの平均寿命はわずか1.5年。渡り鳥たちがいかに過酷な生活をしているかがうかがえます。

日本海溝に沿って、やがて日本列島が見えてくると、群れから歓声があがります(?)。今年も海を越えることができました! おそらく紀伊半島のどこかの岬に上陸するのだと聞きました。

上陸してからはずっと紀伊山脈の森の上、山の上空を飛び続けて、やがて吉野、五條市、奈良盆地の、少し開けた土地に。でもここはまだ、自分たちが戻る場所ではありません。明日香村、橿原、そして城陽、宇治を過ぎれば、山科はもうすぐそこ。なつかしい匂い。なつかしい景色。あの通り、あのビルが見えてきます。

 

初ツバメは長旅を終え、目的地に到着すると、そのうれしさのあまりなのか、それとも見ているこちらが勝手にそう思って見るからなのか、きれいな夕焼け空を背景に、いつもうれしそうにクルクルクルクルと何度も何度も回転してみせます。

 

明日からはじまる、いっときも休むことのない生きるための夏の活動、必死の毎日に備えて、今日だけ、少しだけ……とつぶやいているかのように見えます。

 

明日からは巣作り開始です!