古里物語第四部3−4 | ryobeのブログ

ryobeのブログ

ブログの説明を入力します。

十二月になるとエビス様の為に神楽が催されました。

古式を伝へると云う入来の神楽。

境内に筵(ムシロ)を敷き詰め、人人は焼酎を酌みかはして重詰料理を楽しみ、お神楽を楽しむのです。

お神楽の太鼓は何時も私の家に置かれていました。

太鼓の好きな私は弟と二人でドドンドンドンと叩いて遊びました。

この年の神楽には小学校三年生の私も出演することになりました。

小さな女の子でなければいけないというその役は天照大御神。

ミサオ姉とシノブ姉とで私の顔は真白にお白粉を塗られ、指先につけた赤い口紅をチョンと付けられました。

緋の袴をはき白い水干(スイカン)をつけ、太陽を型どった金の冠をかぶり、曲玉(マガタマ)を飾りました。

私は屏風の前に立たされていました。

すると谷さんの小父さんが銅鏡を持って来ました。

「この鏡を手に持って、鬼神(キジン)どんの役からついていくのだぞ、鬼人どんはお面ぢゃ中は麓(フンモト)小父さんぢゃからちっともおとろしはなか(こわくない)。

お前が屏風の囲いの中に立っていると、鬼神どんが屏風を開けるからな、泣くんじゃないぞ、おとろしゅは中、フンモトン叔父さんぢゃ、おとろしゅはなか、おとろしゅはなか」と。

裏に彫りのある銅鏡は重たいものでした。湖の底に映っているような私の顔。

唐もろこしの毛のような髪に線に彩られた顔、金色の目玉、耳までさけた口、いきなり青鬼神の顔が目の前に近づくと子供たちは泣き出したものです。

山山に囲まれた台地に漆黒の暗(ヤミ)が迫り、照らすのは松明。

笙、ひちりき、横笛、太鼓、打ち振る鈴の音、榊、榊に揺れる御幣。