インバウンド客と国内客とで価格を変える二重価格を設定する傾向がしだいに増えています。

私はこうした二重価格の設定には以前から賛成で、2年ほど前には国土交通委員会でホテルの宿泊料金に外国人料金を導入すべきではないかと観光庁長官に質問したこともあります。

とにかくいまの日本は「安い日本」という言葉に象徴されるように、財・サービスの価格は海外に比べてあまりにも安い。

これだけ安ければオーバーツーリズムになるのも当然です。

かといってインバウンド客に合わせて価格を上げれば、日本人にとっては高すぎる価格となり、日本人客は離れてしまいます。

それを防ぐためには二重価格しかないのです。

25年くらい前に中国北京に初めて行った際に日系のホテルに泊まり、チェックアウトの時にレシートを見たら日本の同じ系列のホテルの価格とほとんど変わりませんでした。

当時の中国はほとんどのものが日本の価格の3分の1くらいの時代に、なぜそれほど高いのか理由を聞いたところ「外国人料金」と言われました。

ホテルのサービス自体は日本のものとほとんど変わらない水準だったので「仕方ないか」と納得したことを覚えています。

インバウンド客にとって「これくらいなら仕方がない」と思うくらいの価格であれば、日本人より高くても納得するでしょう。

二重価格を導入して利益を増やし、その利益を賃上げの原資に回していけば経済の好循環にもつながります。

1日も早く「安い日本」から脱却するためにも、二重価格の設定をうまく利用していくべきです。