春闘が本格的に始まりました。

大企業では物価上昇率を超える賃上げ実現を表明する企業がすでにいくつも出てきています。

これは大変好ましいことですが、問題はこうした賃上げを中小企業レベルでも実現できるかどうかです。

しかし現状、多くの中小企業が資材価格の高騰などコストが上がった分でさえ、満足に価格転嫁が実現できていない状況です。

その中で物価上昇率を超える賃上げなど、土台、無理な話です。まずは中小企業がコスト増分だけでなく、賃上げ分も含めて取引先に価格転嫁できるようにしなければなりません。

その障害となっていると中小企業の方々からよく聞くのが、取引先企業の調達部門の在り方です。

この間、企業の調達部門は少しでも調達価格を低くするよう取引相手に求めることが仕事で、そこで働く人の人事評価も調達コストをどれだけ節約できたかで評価されてきました。

まだ多くの企業の調達部門ではこうした状況が続いています。

これでは取引先企業が賃上げをするための原資を確保するための取引価格の引き上げを求めても、それが受け入れられることはきわめて困難です。

一刻も早く調達部門の意識を変えて、賃上げ分の取引価格のアップを受け入れるように、またそうした判断をした人を人事上も評価するようにすべきです。

日本経済全体を好循環に持っていくためには、大企業だけでなく中小企業も含めて物価上昇を上回る賃金上昇を一日も早く実現し、それが持続的に続く状況を作り出すことが必要です。

そのために必要なことは何かを、この調達部門の意識改革のように、きめ細かく探して対応することが、いま求められています。