最近、転職サイトを利用して転職する人が増えています。

人を採用する方も転職サイトを利用して採用するところが増えています。

転職サイトの普及によって、これまで流動性がないと言われてきた日本の労働市場に流動性が生まれてきたのはいいことです。

一方で若い人たちを中心に短期で何回も転職する人が増えています。

しかしどんな仕事もその仕事に必要な技術なノウハウを覚えて、自分のスキルと言えるようになるまでには、ある程度の期間がかかりますし、雇う方からしても仕事に慣れてようやくこれから本格的に頑張ってもらおうと思っているような時に辞められるのは大変に困ることです。

こうした転職が起きる理由のひとつとして、「転職サイトが登録している人に頻繁に『新しい仕事』の情報を提供するからだという話を採用する側の人たちからよく聞きます。

いまの仕事や職場に何らかの不満のある人に対して、“魅力的な“条件の新しい仕事の情報が提供されれば、そちらに惹かれてしまうのはわからないではありません。

特に深刻な労働力不足時代となって、若い世代は大変な売り手市場なので、仕事さえ選ばなければ転職先はいくらでもあるような状態です。

最近は「ファーストキャリアとして大企業や官庁に在籍すると転職の際の自分の価値が高まるので」という理由で、大企業や官庁への就職をめざす学生もいるそうです。

こうして若い人たちが短期で転職を繰り返すのは、その人にとって、そして日本社会にとって好ましいことでしょうか。

私はそうは思いません。

こうした状況が今後さらに進んでいくと、若い時に短期で何度も転職を繰り返した人たちが40代ぐらいになってしまうと、その時にはそうした人たちの多くは、転職したくても転職できない、与えられた仕事を最後まで責任を持ってやり切ることのできない人になってしまうのではないでしょうか。

大変便利な転職サイトですが、その運用のあり方については、議論すべきだと思います。