政府与党は検察庁法改正案を含む国家公務員法等改正案の今国会での成立を断念しました。

「#検察庁法改正案に抗議します」とのハッシュタグをつけた投稿がSNS上で膨大な数にのぼり、こうした国民の声が採決を強行しようとした政府与党の動きをギリギリのところで止める大きな力となりました。

しかしまだ問題は終わっていません。

政府与党はまだこのまま次期国会で成立させようとしています。

この法案の問題は大きく言って二つあります。

ひとつはこの法案が国家公務員法や検察庁法など33もの法律改正をひとつに束ねた、いわゆる「束ね法案」であることです。

検察官は国家公務員ではありますが、一般の国家公務員とは同じ公務員でも性格が異なります。

特にトップの検事総長はもとより、次長検事と検事長まで国務大臣や特命全権大使と同じく天皇による認証が必要な認証官です。

一方で各省庁の事務方のトップである事務次官や警察庁長官、消費者庁長官などは認証官ではありません。

これだけでも大きな違いです。

だからこそ特別の法律で規定されているのです。

にもかかわらずその改正を一般の国家公務員に適用される国家公務員法と束ねて行うのはおかしなことです。

したがって検察庁法改正案はこの束ね法案から分離し、独立して審議採決すべきです。

もうひとつは内閣の判断で検察幹部の定年を延長できる特例規定の存在です。

私たちは他の国家公務員と同じように検察官の定年を延長することには賛成です。

しかし検察幹部の定年を内閣の判断で延長できるとする定年延長の特例規定は、ときの政権によって恣意的に運用される恐れがあり、検察官が準司法的立場に立つことに鑑みれば、これは断じて認める訳にはいきません。

したがってこの特例規定を削除すべきです。

政府与党がやるべきことは、今回の法案を取り下げて、次期国会には特例規定を削除した単独の検察庁法改正案を国会に提出することです。

その実現まで私たちは声を上げ続けます。