来月から始まる新しい元号が「令和」に決まりました。

「令和には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」と安倍総理が述べましたが、この言葉の通り、新たに始まる令和時代は文化が生まれ育つ、文化中心の時代になって欲しいと思います。

まもなく終わろうとしている平成という時代。

平成時代がスタートした時はバブル経済の絶頂でした。

戦後日本がめざした“経済大国”のピークとも言えます。

しかしバブルはあえなく崩壊、その後、日本経済は長期の低迷に陥り、経済大国という言葉もすっかり聞かなくなりました。

それから30年余り、日本は経済の代わりに社会として追い求めるものを見定めることができずに迷い続けてきた、それが平成という時代だったのではないでしょうか。

私は以前から日本はもっと文化を大切にし育てる、文化を社会の中心に置く社会をめざすべきだと考えてきました。

日本の文化は、外からさまざまな文化を吸収しながら、それをそのまま受け入れるのではなく、自分たちなりに咀嚼(そしゃく)して、そこから独自の文化を生み出してきました。

異質な文化と対立したり、排除したりするのではなく、その一方で同化したり、支配されたりもしない中で育まれてきた日本の文化は、世界に誇るべきものです。

今回の元号の典拠となった万葉集の一節も、それが生まれた背景には中国の文選の一節があり、まさに日本文化の特徴を象徴しています。

そこからとられた「文化が生まれ育つ」という意味を持つ令和という新しい時代。

だからこそ私は令和という時代を文化が中心となる時代にしたいと強く思うのです。