そもそも当時の野党、自民党の要求で決まった国会での与野党の質疑時間配分2対8という割合を、大幅に見直して5対5にしようという提案が与党からなされています。

「これだけ人数が多いのに自分たちが質疑できないのはおかしい」という与党議員の訴えから始まったと言われていますが、全くお門違いの主張だと言わざるを得ません。

この問題を考えるにあたっては、まずはこれまでの予算案や政府提出法案の作成から国会審議までのプロセスを理解することが重要です。

国会に与党側から提案される法案のほとんどは政府提案で、政府提案の法案に対する議論は議員と大臣などの政府関係者との間で交わされます。

この議員と政府との議論、与党議員は政府が法案を国会に提出する前にすでにしっかり行なっているのです。

すなわち政府提出法案は国会提出前に与党内で綿密に議論され、必要な修正などが行われて、与党としてこの法案内容でよいと確認された法案のみが国会に提出されるのです。

予算案も同じです。

国会に提案された予算案の中身はすでに与党は全て事前に確認して承認しているのです。

だからこそ国会での政府と議員との議論は野党議員が中心となって行われてきたのです。

にもかかわらず国会での与党議員の政府への質疑時間を増やせというのならば、まずはこうした与党の事前審査手続きをやめるべきです。

これまで与党内で行ってきた予算案や政府提出法案の事前審査をやめて、審査は全て国会の審議の中で行うことにするのならば、議席数に応じた国会での審議時間を求めるのは理解できます。

しかしそれをやらずに国会での審議時間増加を求めるのは、あまりにも身勝手な主張です。

到底、受け入れられるものではありません。