中国が中心となって設立されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、日本は参加すべきか否かが議論されています。

私は日本が参加する代わりに、いろいろな条件を飲ませることができるような状況ならまだしも、すでに設立メンバーへの参加は閉め切られ、今後はこの設立メンバー間で決められたルールの下で参加するという選択肢しかないという状況の中では、巨額の出資をしてまで、いまさらAIIBに参加する必要はないと思います。

「AIIBに参加しないと、これから伸びるアジアのインフラ投資へのビジネスチャンスを失ってしまうのではないか」という危惧をもつ人もいますが、AIIBがやろうとしていることは、日本が主導権を持つアジア開発銀行(ADB)や日本の国際協力銀行(JBIC)の機能強化を図ることでも十分に対応が可能です。

もしADBやJBICは対応できないが、AIIBならば対応できるという案件があれば、そもそもそれはビジネスとして成り立ち得ないような案件である可能性が高いと思われます。

また実際にはAIIBだけで対応できるような案件は少なく、大きな案件などは、ADBなどと共同して事業を進めることになるのではないでしょうか。

そういった意味で、いまさら乗り遅れたバスに慌てて乗ろうとする必要はありません。

いま必要なことは、ビジネスとして成り立つアジアのインフラ投資事業を、日本企業が獲得できるための方策を別に考えることです。