水俣湾(熊本県)について想うこと★その7 ~ 患者について・いまだ未解決 | ふるふワールド

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●水俣病のおさらいとして

 

水俣病発生前の兆候

 

チッソの水俣工場がアセトアルデヒドを生産して以降、水俣湾では異変が起きていた。太平洋戦争中の1942年、水俣市月浦で当時4歳の子供が水俣病の症状を発症した(1956年5月に公式確認、68年9月にようやく公害認定される26年前)

終戦後の1949年(昭和24年)頃には水俣湾で牡蠣が異臭を放つ、タイやエビ、イワシ、タコなどの漁獲量が激減。

1952年頃になると猫やカラスなどの原因不明の死亡例が多発。

1953年になると水俣湾内で魚が浮き上がったり、海鳥やカラスが落下する現象がみられた。

最も顕著に症状が出たのが猫。猫が自分の姿勢を保つことができず歩行困難、よだれを流すなどの症状が見られた。このことから、当時は「猫踊り病」などと言われていた。その直後に水俣湾周辺の住民にも異変が起きていた。

 

 

 

水俣病の原因となった工業廃水に含有されたアセトアルデヒド

 

無色で特有の臭気があり、常温で高揮発性の液体。有機化学工業の原料、合成樹脂、合成ゴムなど化学製品の合成原料として用いられる中間原料。水俣病が発生した当時は、塩化ビニ ールやプラスチックの材料となるオクタノールを造るための原料として大量に製造されていた。

※排水された時は無機水銀で人間の体内に入っても吸収されずにそのまま体外に出るものが、バクテリアが無機水銀をメチル水銀(有機水銀)に変えることにより体内に吸収されるメカニズム。

 

 

 

水俣病患者について

 

メチル水銀(有機水銀)で汚染された魚を長い間食べ続けると、体の中にメチル水銀が蓄積されていく。メチル水銀が体内の色んなところに血液により運ばれ、特に脳や神経細胞に障害を与える。水俣病発生初期は症状が重く、気が狂ったような状態からわずか数十日で死んでしまう患者もいた。また、体の中のメチル水銀は排便や髪の毛、爪に混じって体外に少しずつ出てくるが、体内のメチル水銀がなくなっても、一度破壊されてしまった脳細胞は元に戻らない。水俣病を治す治療法はない。わずかに痛みをやわらげるための鍼灸(はりきゅう)や 痛み止めの薬の服用のみ。

胎児性水俣病は妊娠中の母親の胎内で、母親とへその緒でつながって間接的に栄養をもらっているために、母親の症状よりも胎児にメチル水銀が蓄積するために重い症状で産まれてくる状況も多かった。現在も日常の生活が困難な患者は水俣市内の明水園という施設(水俣病認定患者の施設)で生活をしている者もいる。

 

 

 

水俣病の患者数

 

熊本県 1,790 名 鹿児島県 493 名 計 2,283 名(2020 年 5 月 31 日付)

認定をされると、補償金の支払いと医療手帳が交付される。その他にも認定患者ではないが何らかのメチル水銀被害を受け、救済対象者として認められた被害者が 67,545 名。

 

 

水俣病の公害認定が1968年9月26日。チッソのメチル水銀垂れ流しから36年、最初の公式確認から12年

あまりにも遅く、加害者チッソは工場からの廃水が原因ということを長らく認めずに国に公害病認定された年にようやくメチル水銀化合物の垂れ流しを止めた

その公害病認定も昭和44(1969)年に施行された判断基準が曖昧なものとして、昭和52(1977)年に判断基準を変更したものの、今度は基準が厳しすぎたために明らかに水俣病と思われる患者たちが除外されてしまう。

その後、認定を求めての水俣病訴訟が相次ぐことになるが、国は認定基準を今も頑なに見直さないまま。

2018年当時でも水俣病の認定を求めて申請している人は2千人にのぼる

 

この水俣病公害病認定だけではないが、結局はエリート官僚たちが数字と報告書だけをみて会議室で決めているので、現実との乖離が生まれるのだと思う。本当の現場を、患者の心の痛み、苦しみを知らない、血が通ってない官僚主義だと思う

 

36年中35年にわたって有機水銀化合物という毒を流し続け、

水俣病を引き起こした元凶の百聞排水口

 

 

 

2018(平成30)年

 

水俣病の原因企業チッソの後藤舜吉社長(83)が、「救済は終わっている」との発言について、大阪市で28日に開かれた株主総会で問われ、「特措法水俣病被害者救済法)による救済は終わっている。一部を除いて被害者への支払いは終えており、その意味で救済が終了したのは間違いない」と述べた。また、「救済の終了とは言いがたい」との考えを示した環境相との見解の違いを認めた。

 

⇒早く水俣病に、都合が悪いことに幕を引きたいようにとしか受け取れない。