続《six》11 | すーぱーじゅにあ ウネがかわいいっ 月子のブログ

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「そろそろ着くぞ。拳銃、撃ったことあるのか?」


「射撃の練習はかなりしてました。」


「カチコミとかは、、、まあ、ないか。」


「はい」


「日本でも今は平和なもんで組同士の戦争なんてほぼないもんな。あんちゃんはあの子を見つけたらすぐに連れて逃げろよ?」



逃げるって言っても船を操縦できないし、、、




「うちの事務所からだと船で来た方が早かったから船を出したけど、ここは陸続きになってるんだ。ほら」



地図を渡された



「ここが今いる場所、あの子やイジュンギや義鷹も多分ここにいるはずだ。造船所の中核」



オヤブンサンは地図を見ながらドンヘを見つけてからのオレたちが逃げ出すルートを説明してくれた。


着岸し、船から降りた途端銃声がした。



慌ててしゃがみ込む



「来たのか?ジジイ」



声の方を見ると男が一人、拳銃をこちらに向け立っていた。



「桝井…やっぱりお前も噛んでたんだな」



マスイ、、、こいつがオオトモイッカの親組織桝井組の組長、桝井宏治。



「なんでオイラに拳銃を向けるんだい?」


「理由はあんたが一番わかっているだろ?」


「わからねえな…。オイラはチンケな組の組長だぞ?それに引き換えあんたは直系桝井組の組長様だ。」


「それが気に入らねえってんだよ!チンケな組のただのジジイになんで会長は…なんでこんなショボくれたジジイに、、、なんで俺じゃねえだよ!?」


「仕事ができねえやつに仕事を任せる馬鹿が何処にいる?」


「なんだと?」


「けど、思ったより度胸があるんだな?」


「あ?」


「一人で来るとはな。」


「テメェみてえなジジイ、俺一人で十分だ」


「ああそうかい。邪魔だ。俺は先を急いでるんだよ」


「くっ…馬鹿にしやがって!」



マスイの指が引き鉄にかかった



「オヤブンサン!」



オレの声を掻き消すように2発の銃声がなった。



マスイの眉間に穴が空き崩れ落ちるマスイ


え?オヤブンサンは拳銃を取り出してもいない。



「ジューゴ!余計な事すんじゃねえよ」



オヤブンサンが韓国語で怒鳴る



「いやあ、だってよぉ…今のはタケちゃんの方が分が悪かったろ?」



笑いながらライフルを片手に陰からでできたのは
ノルテの常連、魚屋の店主!?


え?え?この人も韓国語はなしてる。
いや、それよりも今、マスイの眉間を撃ち抜いたのは、魚屋の店主だったのか?


夜な夜な飲み屋で飲んだくれている魚屋の店主が、たった一発の弾丸で動く人間の眉間を撃ち抜けるほどの腕を持ってるって、、、



どうなってるんだ?この街は




「久しぶりだから、腕が鈍っちまってるかと思ったけどな。一発で仕留めれたわ。俺はやっぱり天才だな」



とか言いながらヘラヘラしている魚屋の店主を呆然と見ていると



「よお!ヒョクチェ、俺は飯塚十五ってもんだ。ノルテの近くで魚屋やってるよ。って知ってるか」


「魚屋さんも韓国語が話せるんですね」


「タケちゃんとは同級生でな。幼馴染ってやつだ」



オレの質問とは関係のない事を答えてくる。



「話は後だ。行こうぜ」



オヤブンサンの言葉に、頷くオレと魚屋さん



「十五、お前は帰れって!」


「相手は何人いるかわかんねえだぞ?タケちゃん一人じゃ無理だって」


「オイラとイドンヘを秘密裏に始末するつもりだろうから、そんなに大人数を引き連れて来ていないはずだ。イジュンギとその手下…一人、二人くれえか、あとは義鷹と義鷹の右腕、矢島道弘くらいなもんだろ」


「だとしたら4人か。2ー2だな。俺が二人。タケちゃんが二人」


「、、、なあ?遊びじゃねえんだ。あいつらだって死に物狂いで殺しにかかってくるぞ?頼むから、、、オイラは誰も巻き込みたくねえんだよ」


「俺だって遊びじゃねえよ!何でもかんでも一人で背負い込もうとすんじゃねえよ!恩義は返したろ?もう十分だよ。生きて帰ってさ?これからはゆっくり余生を過ごそうぜ」


「、、、わかったよ」



オヤブンサンの諦めにも似たため息で
オレたちは歩き出した。



「本当に一人できたんですかね?あのマスイって人」


「ジジイ一人に手下をゾロゾロ引き連れてくるなんてのはプライドが許さなかったんだろ」



イワタゾウセンの事務所の前まで来た時



「そろそろ来る頃だと思ってましたよ。大友さん」



後ろから拳銃を突きつけられ、オレたちはイワタゾウセンの事務所の中へ引き摺り込まれた。

オレの拳銃とオヤブンの拳銃、もちろん魚屋さんのライフルも全て取りあげられてしまった。



「あっちゃー、、、あっさり捕まっちまったなあ」



魚屋さんの楽しんでいるような声



「爺さん2人でヒーローごっこですか?いい年をしてなにをやってるんですか?大友さんもそろそろ引退したらいかがです?」



こいつがイワタヨシタカか、、、。



「まあなぁ、引退したいとは思ってるんだが
馬鹿息子が心配で夜も眠れねえって言ってる親方のことが心配でこっちが眠れねえからなあ」

.
「こっちは馬鹿親父に手を焼いてますよ。親父もさっさと引退すりゃあいいのに…いつまでも東陽連合会にしがみついて…とうとう、こんな知らないガキに東陽連合会を譲るとか言い出した。意味がわかりませんよ」



言いながらヨシタカが後ろの襖を開け、転がっていたドンヘを引きずるようにしてオレたちの前に座らせた。



「ドンヘ!!」


「ひょ…く…」



ドンヘの見た目は綺麗なままだった。
暴力は振るわれていない事にホッとする。



「何もしてないよ。当たり前だろ?この子は俺の可愛い甥っこだ。まあ、殺すけどね」



こいつがさっきっから韓国語で話しているのはドンヘに聴かせるためだったんだと気付いた。



「っ!なんで?こいつはトウヨウレンゴウカイなんていらないんですよ?後を継ぐ気もない。」



ドンヘの気持ちを聞いたわけじゃないけど
トウヨウレンゴウカイの後継者になって欲しいと言われたとしても断るはずだ。



「今はそうだったとしてもな?人間なんて金が絡むと変わるもんなんだよ。」


「そんなこと、、、」


「それにな?、、、ってお前誰だよ?」


「え?」


「大友のとこの若いヤツかと思ってたけど、お前韓国人か?ジングォン派の人間か?」


「もう、ジングォン派の人間じゃない。オレはドンヘの、、、」


「まあ、友達ならこのガキと一緒に死んでも悔いはないよな?」


「なぜ殺すんです?なぜ血を分けた甥っ子と共に生きようと思わないんですか?ドンヘは何もいらないって言ってるじゃないですか!?」


「青年、お前の言葉を信じたとしようか。お前の言葉通りこいつは東陽連合会の後継者になるつもりはないとする。でも、うちの親父の意思は固くてな。こいつが生きている限りこっちは安心できないんだよ。」


「あんたの親父なんだろ?説得しろよ!自分がどれだけトウヨウレンゴウカイのことを考えてるか、どれだけ真剣に後を継ごうと思っているのか、腹を割って話したらイワタヘイゾウサンも分かってくれるんじゃないですか?あんたがしっかりしていれば、いくら孫だとは言っても、日本に来たこともない、日本のヤクザ組織のことなんかまるで知らない、親父が日本人だってことも知らなかったようなヤツを後継者にしようなんてイワタヘイゾウサンだって思わないんしゃないですか?」


「、、、」


「どうした?ぐうの音も出ないか?義鷹」


「うるせえジジイ!」


「けどな?オイラもそう思うよ。なあ?この子が東陽連合会の後を継いだところで何ができる?右も左もわからねえ子に何ができるってんだ?出来るはずなんかねえんだよ。この子を後継者にって親方に言われた時、オイラも思ったもん。親方もヤキが回ったなってな。」


「俺だってわかってたよ。俺は兄貴と違って親父に愛されてなかったから、、、だから兄貴の忘れ形見のこのガキを後継者にって親父が言い出した時、結局兄貴かよって、死んでからも親父の寵愛を受ける兄貴が憎かった。このガキも親父も憎くて、、、」


「いい歳して未だに反抗期かよ。呆れるな」



魚屋さん…ちょっと黙ってて



「義鷹、お前がこの子らを殺すってんなら、オイラはそれを全力で阻止するぞ?それはお前の息の根を止めてでもって意味だ」


「強気なジジイだ。命をかけてまで守ろうとするなんて、あんたまでこのガキに絆されちまったのか?」


「そんなことじゃねぇんだよ。誰だって意味もなく殺されるなんてたまったもんじゃねえだろ?」


「もういいよ…。連れて帰れよ」



ヨシタカの言葉にオレはドンヘの側に走り寄った。



「ヒョク…オレ…」


「行こう。話は後だ」


「うん」



拳銃とライフルを取り返したオヤブンサンと魚屋さんがオレたちを護衛するように歩き出そうとした時



「まだ帰って貰う訳にはいかないんだよな」



目の前に、銃を構えたイジュンギとその手下たちがいた。
























つづく