きっとこれ以上好きになるのが怖かったんだと思う。

 

一日、一日と過ごしていると

 

とんでもない深い穴の中に吸い込まれていくようで

 

息ができなくなりそうで

 

何にも要らなくなりそうで

 

そんな自分が恐ろしくて、逃げたんだと思う。

 

自分の将来のため

相手のため

まだ学生だから

好きだけじゃやっていけないから

けじめをつけなければいけない

 

そんな戯言を並べて、自分にイラついて、

 

その深い穴に飲み込まれないよう、必死に必死に外側へオールを漕ぎ続けた。

 

いつか筋肉は悲鳴を上げ、飲み込まれるか、一気に外へ逃げるか。自分自身が自分に問いかける。

 

すると、それに呼応して、物凄い勢いで吸い込もうとしてくる。

 

オールを漕いで漕いで、全力を出し切って外側へ逃げ切った先には、驚くほど凪な世界が待っていた。

 

一体自分は何を求めていたのだろうか。

なぜ、その深い穴へ近づいたのだろうか。

 

そして僕はまた、波を求めて進んでいく。