『八朔の雪〜みをつくし料理帖』あらすじなど | ほぼテンダネスのブログ

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肩が凝らなくて、でも簡単すぎないのが読みたいな〜と思いこの本を手にとりました。
江戸の人情話って、心に染みてなんか泣けるのよね〜
楽しんで読んでるのに 涙活してしまいましたw

「口から摂るものだけがひとの身体を作る」この作品の医者の言葉です。
よく言われる「美味しくて身体に良いものを食べよう」という意味も含むかもしれませんね。
ほぼテンはこの言葉が昔の、江戸時代の、お医者さんから出た事に意味があると思います。
薬もあっただろうけれど、大概自然治癒力に頼っていた昔の人は「医食同源」を現代人より大切に思ってたんだろうなと。

主人公の女料理人・澪(みお)は、「天性の味覚と負けん気で」手に入る旬の魚や地場野菜を使って美味しくて身体に良い料理を作ります。どれも心がこもってるのです。読んでると真似をしたくなりました。
そういう読者もいるだろうと巻末に作中の料理のレシピが載っています。お江戸版『クッキングパパ』だなw内容は全然違うけどね(笑)
あ、温かい人情がある点は同じかな( ´▽`)
今は物流が盛んで、どんな食材でも手に入るから恵まれていそうなもんだけど・・・
昔は手に入るものが限られているから そこにある物で工夫する、結果その風土にあったお手頃で美味しい物ができる。悪い事ばかりじゃなかったんですね。

『みをつくし料理帖』シリーズの主人公お澪(みお)は 18歳。子供の頃水害で塗師の父と優しい母を亡くし、料理屋「天満一兆庵」の女将に拾われ上方女料理人となりました。ところが貰い火で店がなくなり、一兆庵の主人嘉兵衛と女将の芳は澪を連れて江戸へ。息子佐兵衛が商っている天満一兆庵江戸支店に助けを求めます。けれど、苦労して江戸に来たのに江戸店はなく、噂では息子佐兵衛は廓にハマり借金がかさんで夜逃げしたと。
心労がたたり亡くなった嘉兵衛に代わり、息子を探す芳と、芳を支えながら一兆庵の暖簾を揚げたい澪。しかし、貧しい2人はその日を暮らしていくので精一杯。
そんな時、澪が、朽ち果てた小さな稲荷神社の雑草を引き、お参り出来るようお社の手入れをした事からある人と出会う。
澪は、居酒屋での仕事の合間に、何日も大変な作業を心を込めて一生懸命やっていた。それを見た蕎麦屋「つる屋」の主人、種市に声をかけられたのだ。
「お前さんの働きを見ていて、こんな娘に手伝ってもらったら間違いなかろう」と雇ってくれる。
実は、種市は澪に自分の亡くなった娘 つるを重ねて見ていたと後で知るのだった。

澪って「見事な下がり眉毛」なんです。愛嬌があって親しみやすい。困り顔になると見事に眉が下がり、澪に怒ろうとした人もなんだか彼女が気の毒になるw
働き者で、料理の事になると特に一生懸命。
上方と江戸の両方の味を知っていて、それぞれの長所を料理に活かす所とかは、ほぼテンの大好きなポイントです。
交通の便が整っている今の世の中 日本全国の味(というか世界各国の味も)を知っている方はものすごーく沢山いると思います。ただ、味を知ってはいても、その土地の味全てを自分に摂り込むのは難しいかと。それをするためにはそこで生活する事が一番。けれど、いざ生活すると自分の故郷の味と今いる土地の味の違いに慣れない方も結構いるのではないかしら。
上方から来た澪も戸惑い、江戸の味になかなか慣れません。食材が違うのはもちろん、水の味も違う。逆に江戸のお客さんに上方の料理は不評。そこで、澪は色んな創作料理を作る。
中には 私達にお馴染みの合わせ出汁や茶碗蒸し(ほぼテン大好き♡)も出てきます。関西風 心太や関西風粕汁は読んでるだけで食べたくて・・・。
他に出てくるのは鰹田麩、葛まんじゅう、タコと胡瓜の酢物(今晩作ります)、ハモとかハモとかハモ・・・ハモ食べたーい( º﹃º )
意外だったのは、とんぶり(ほうき草の実)は下ごしらえに ものすごーく手間がかかるということ。昔はヒラメが安かったということ。昔の江戸では、初鰹は喜ばれたのに戻り鰹は猫跨ぎと言われ馬鹿にされたとか。
澪が世話になっている医者の源済は時々澪に助言をする。「江戸っ子は初物にも弱いけれど、期限をもうけられるのにも弱いのですよ」
なるほど〜その土地の方の気質も食べ物の好みに影響するよな〜と納得しました。

自分の作った料理を 食べて喜ぶお客達の笑顔で、幸せになる澪。
しかし、実際は苦労の連続。女という事で差別されたり、その料理の腕を嫉まれ新作料理をあちこちで真似されたり。
そして、最悪な事に商売敵に 火をつけられ つる屋が消失します。
澪は、つる屋を失った種市を励ます方法がわからない。自分のせいで周りの人を恐ろしい目にあわせたと落ち込み、料理人をやめようとします。
けれどそんな時
幻とも言われる花魁「あさひ太夫」から何でも良いので関西風のお料理を弁当箱に詰めて欲しいと人を寄越される。
今まで何度か頼まれたこのお弁当の依頼。澪は最後の料理となるかもしれないが、花魁に食べてもらおうと冷や飯のおにぎり、おぼろ昆布を作る。いざ使いの者(廓の料理人又次)が持って来た弁当箱を開けて驚愕する。
その中に袱紗に包まれた十両もの大金が入っていたからだ。
そして文が一枚『雲外蒼天』
澪は叫びそうになるのを堪える。
この言葉を知る唯一の人は、生き別れてずっと逢いたいと願っていた幼なじみの親友 野江だけだ。つまり、あさひ太夫とは野江だ と気づいたのだった。
料理人又次が言う。「太夫に頼まれた。もしあんたに料理を作る気力も失せているなら、(弁当箱を開けずに)そのまま黙って帰って来いと。けれどもしこの弁当箱に詰める料理を作ったなら、あの子はきっと立ち直る。その時には、この十両を用立てて欲しいと」

『雲外蒼天』
昔、野江と一緒にいた時、澪が易者から予言された己の運命を表す言葉だった。
『澪には艱難辛苦が降り注ぐ。けれど、その苦労にたえて精進を重ねれば、必ずや真っ青な空を望むことができる。他の誰も拝めんほど澄んだ綺麗な空を。』易者はそう言った。野江もそれを聞いていた。
野江の手紙によって、そしてその真心を知って立ち上がった澪。
「野江ちゃんに・・・あさひ太夫にお伝えください。そのお気持ち、決して無駄にしません。頂いた文を胸に刻んで精進しますと」
早速、澪は粕汁を売る屋台を始める。種市も芳も 一緒に働くおりょうも少しづつ元気を取り戻す。

無邪気だった老舗唐高麗物屋の娘 野江と塗師の娘 澪。2人の少女が、片や花魁として、片や苦労人として成人し、思いがけない縁(実はこの十両話の前に色々あるのです)でお互いの生存を知る。
野江に逢いたくても、花魁は籠の鳥。誰かに身請けされるか、年季明けまで待つか、澪が廓に堕ちるかしない限り逢えません。
いつか何とかして、野江と逢いたいと願う澪です。
作品の言葉を 少し引用したぐらいでは、この切なさを伝えられないのがもどかしいです・・・(苦笑)
その後、澪は野江に伝えた言葉通り、料理人として精進します。
「(料理屋)番付の優劣よりも、私には、この店に通い、美味しく料理を召し上がってくださるお客さんの方が大事です。その方がずっと大事なのです」

えっと・・・ほぼテンが、あらっと思ったのは澪の恋です。相手は、つる屋に飲みにくる小松原という浪人風の常連客。澪に厳しいながらも、色々気にかけてくれ、時には励ましてくれる。
それにしては厳しすぎる気も・・・ツンデレのデレが少ないお人かなw
料理に命をかけてる人だと 薄々感じたから好きになったのか?
身分の違いから上手くいきそうにはないけれど、本当に何とかならないかなぁと焦れます。


さて、本文とは関係ありませんが、1つ。
ある小学生が、家庭科のテストで味噌汁の作り方の答えをこう書いたそうです。
「お湯に粉を溶かしてお豆腐を入れたら出来上がり」
笑えるけど、ちょっと笑えません。
今は鰹節(削ってないやつ)はなかなか手に入りません。ほぼテンの家には鰹節削り器がありますが、最後に使ったのはかれこれ十数年前。
恥ずかしながら普段は、だしの素使ってます。時々は、ちゃんと出汁をとりますが。
子供達には正しい出汁の取り方を教えたいものです。


もう一つ、『みをつくし料理帖』とまったく関係ないのですが、ほぼテンが食欲を無くすと思い出す話があります。
韓流ドラマ『アクシデントカップル』のワンシーン。
冴えない郵便局員ク・ドンべクはひょんなことから女優ハン・ジスと知り合います。ジスに密かに恋心を抱くドンべク。しかしジスにはキム・ガンモという恋人がいます。
ある日、キム・ガンモはジスを裏切り他の女性と婚約します。ショックで何も食べられなくなるジス。
そんなジスをレストランに連れていき、小ぶりな料理がいくつかのったテーブルを前に ドンべクは話します。
「ジスさん。僕、この間テレビを見てとってもびっくりしたんです。」
怪訝な顔をするジス
「凄いんですよ・・・これは、大発見なんです!」
話の続きが気になるジス
「人間ってね・・・、食べないと死ぬんですって!」
?ぽかんとするジス。しかしあまりのバカバカしさに笑ってしまう。
なんて当たり前の事をこんなに大げさに言うんだろう。でもそれがドンべクの優しさだと気づく。
ひとしきり笑った後、今まで気づかなかったテーブルの上の料理に目がいく。
ドンべクはその視線の先を見て「ジスさんはプチトマトが好きなんですね。これだけでも食べて下さい。」と手渡す。
ほぼテンはこのシーンでク・ドンべクに恋しましたw


さて、話を『みをつくし料理帖』に戻します。
今、ほぼテンはシリーズ5巻目に突入しました。ほっこりしたり はらはらしたり素敵な小説です。今年の5月に主演・黒木 華さんでNHK土曜連続時代ドラマとして放送されたそうです。見たかったな〜再放送しないかな〜(^^;
本の帯に作者 高田郁先生の描かれた『みをつくし料理帖』のイラストがあります。
凄くお上手で可愛くって、文章だけではなくイラストにも先生のお人柄がにじみ出ているなぁと思いました。


続きを読むのが楽しみです♪