ここ数年、様々な場面でオンラインの活用がされるようになりました。
前回投稿した道外へ引っ越した飼い主さんも
宣言通り、オンラインでの練習をしっかりと続けています。
オンラインツールは、
要領をつかめば時間と空間にとらわれずに人と繋がれる、
非常に優秀なものです。
ただし、何事もそうですが、過信しすぎないことは大切です。
今回は、オンラインを活用してコミュニケーションを取るときに
気になっていることを書き留めておこうと思います。
◯その場の温度
オンラインで繋がれるメリットはたくさんあれど、
不安要素の一番は「対面ではない」ということ。
私たちはコミュニケーションを取るときに、
会話そのものだけではなく、
表情、語気、口数、よく出てくる単語、雰囲気など
様々な情報を総合して相手のことを理解しようします。
しかし、オンラインでは
視覚と聴覚を使った情報を伝える・感じ取ることはできますが、
味や匂いといった味覚、臭覚、そして肌で感じる触覚は伝えられません。
コミュニケーションを取るときは、
その場その場で察知する肌感覚は
あなどれません。
空気感、臨場感、緊迫感、安心感…
それら「その場の温度」は、オンラインでは半減してしまいます。
オンラインで得られる情報は、
対面のときに得られる情報のうちのほんの一部分です。
◯時間と空間の距離
そしてもうひとつ、オンラインでは「接点が限定」されます。
対面でもオンラインでも、よく会う人が
ちょっと様子が違うな、なんだか気になるな、ということを感じたとき、
どうするでしょうか。
対面であれば、その場で「何かあった?」とそれとなく聞くことができます。
状況によっては、深く聞くこともできます。
「なんでもないよ」と返事が来ても、引っかかりがあれば
「いや待って。無理してない?」と問うことができます。
対面なら、すぐに手をさしのべることもその場で粘ることもできます。
けれども、画面のつながりでは、感情を隠しやすいうえ、
さしのべる言葉に、返信しない、通話に出ない、切るなど
接点を簡単に制限されてしまうことも考えられます。
辛いとき、困っているとき、それを出せるかどうか。
真面目な人、責任感の強い人、一生懸命な人ほどSOSを出すことを戸惑います。
オンラインはそもそも時間や空間的な「距離」があるときに使うものです。
対面であれば、少し強引にでも引き戻すことができることも
この距離がハードルとなり、
あと一歩がつながらないことは心配な要素です。
◯それでも、不安要素を超えていく
慣れると人は「当たり前」になっていきます。
オンラインに慣れた結果、
一部分だったはずの情報が「全て」と錯覚しないよう、
伝え方や頻度など、情報を補う工夫は忘れないようにしたいものです。
そして、オンラインをコミュニケーションの道具として使う時は
どれだけ信頼関係を構築できるかが
とても重要だと思います。
そのために結局は、
ひとつひとつの出会い、共有する時間を
いかに大切にできるか、
というこの基本的な一点に集約されるのではないかと思います。
自分のことすら
「自分は本当はどうしたいのか」
「なぜあんなことを言ったのか」
などと悩む時があるのに、
自分の言いたいことを誰もが100%分かる言葉で伝えることも、
自分以外の他者の様子を100%理解することも不可能なことです。
誰かを理解することは0か100かではないはずです。
自分を知ってもらい、相手を知っていき、
時間をかけて関係を築き、
理解を少しでも100に近づけていく。
そのために、接するその時、その時に真摯に向き合う。
そこに人と人との温度があることは、オンラインでも対面でも
最も忘れてはいけないことなのではないでしょうか。