今月、こんどっぐで熱心に練習を続けていた飼い主さんが、転勤のため道外へ旅立ちました。

 

人生では、様々なイベントがおこります。予めわかっているものもありますが、たいていは突然我が身に起こるもの。

 

この飼い主さんも、今後の犬との生活をどうしていくか、悩み考え何度も話し合って、決断をしました。

 

今回のことは、「選択して決断をする」ことについて驚きと尊敬の気持ちが生まれる、非常に考えさせられる出来事でした。


 

 

  ◯ざわつく気持ち

 

 

この飼い主さんは、1匹めの犬のしつけに失敗し、こんどっぐに来ました。

 

その後、本当に熱心に訓練に通い続け、昨年度は競技会へも参加。

 

その競技会前は練習の様子を毎日動画で私のところに送ってくれるほどのひたむきさです。

 

最近は2匹目を飼い始め、冬の練習も乗り超えて、「よし!今年度も頑張りましょう!」という矢先の道外転勤。

 

御本人も、

「自分は生活の中での犬のウエイトが大きい」

「1匹だけなら心配ないけど、飼い始めた2匹めは…」

「向こうに友達もいない、環境も変わる…」と、ざわざわした毎日。

 

飼い主さんにとっても、相談を受ける私自身にとっても、この1ヶ月は3ヶ月くらいの濃さがある毎日でした。


 

 

  ◯ブレないものがある人は、前に進める

 

しかし最終的には、「1匹目は連れて行き、動画を送ってオンラインで練習を続ける。2匹目は(1匹目の失敗もあるので)もう少し預ける」という決断をします。

そのことをこんなふうに話していました。

 

「1匹目は、今までやってきた練習をしていきたい。やめて、自分だけで練習しても良くならない。

 

去年、大会で結果を出せた。ここでやめたらもったいない。

 

もちろん、必要最低限の生活を犬とできればいいという考えはある。

でもそれは、犬にとってはどうなんだと。

 

この子は、訓練によって前よりもすごく良い雰囲気に変わった。

だから、犬のためを思ったらこっちのほうがいいと思ったんです。」


 

「犬にとって一番いいこと」を第一に考えての決断。

 

このブレない軸があるからこそ、この答えを選び取れたのではないか思います。



 

 

  ◯コミュニティの強さ

 

オンラインで訓練を継続するだけではなく、さらに驚かされたのは、「大会も北海道でエントリーする」ということ。

引越し先で出場するのではなく、北海道で出る理由はなにか。

 

それは、「張り合う人がいない」から。


 

「ここで一緒に練習をして、仲良くなって、そして皆の成長を見て「負けてられない!」と思えたから頑張ってこれた。

 

みんな、仲間でありライバル。

 

だから新しい土地で、1人で出場しても、なんの張り合いもない。

良くても悪くても、それを分かち合うこともできないんですよ。」


 

その言葉にものすごく納得しました。

 

そして、コミュニティがあることの強さを感じました。

 

一人ではないこと。

誰かと分かち合えること。

 

それは何をするうえでも、人が生きるうえで非常に大切なことです。

 

「こっちに来るときは泊まっていって!」と声を掛ける仲間のみなさん。

それは、頑張ってきたことを見てくれた人達でもあると感じます。

 

  ◯自ら行動するから選択肢が増える

 

この転勤と決断の話を通して、やはり、ブレない軸を持って行動する人は逆境の中でも突破していけるし、その行動によって選択肢が増えていくと改めて感じました。

 

自ら何もせず、現状維持や流されるままでは、手元のカードは増えません。

行動して、その行動の結果得た経験や知識が、未来の選択肢になるのだと思います。

 

今回の飼い主さんも、「犬の練習のために動画を毎日送る」という試行錯誤の経験があったからこそ、転勤後もオンラインという手段を使う選択肢ができました。

 

「やったことがある」というのは、強みです。

 

全く未経験のものは手が出しにくいですが、たとえお試しでも、短期間でも、一度経験してイメージできることは、手に取りやすいと思いませんか?

 

何に結びつくかはわからなくても、目の前のことに精一杯向き合って、その時やれることを試行錯誤しながらやってみる。

 

それが思わぬところで結びついて、大きな選択を迫られたときに、「この選択肢もある」と思える。

 

そうやって手元のカード(選択肢)を増やしながら、自分の軸に従ってより良い選択をしていきたいと、私も思います。