飼い主同士の会話で

「犬を信じるって難しいですよね?」

という声が聞こえてきました。

 

私はトレーニングをするときに、これまでのブログでも伝えてきた「犬との信頼関係や信用」について、飼い主のみなさんにも話しています。

 

今回はその「信じる」について、ちょっと考えてみたいと思います。


 

 

  ◯いける!と思ったらいける

 

 

先のシーズンで、競技会で好成績を収めることができた飼い主さんは、

 

「入賞は意識してなかったけど、練習をものすごくやった。」

「これだけ練習してできたなら、本番でも大丈夫、と思えた。」

「本番でも、待つだろうなと思っていたら待ってくれた。」

 

と話していました。

 

練習を積み重ねることで、「できた!」という成功体験が増えたこと。

その「できた!」の積み重ねが愛犬との信頼関係に繋がったこと。

 

信じるための下地には、地道な努力がまずは必要だと思います。

 

出会って間もない相手を無条件に信じる、というのは無理な話です。

 

努力して、成長して、相互に関係しあって、信頼関係は作られていくものです。



 

 

  ◯信じていたのに、そうならなかったら?

 

 

でも、「ここは待てる!」と自信満々でいたのに、もし犬が動いちゃったら立ち直れない!

 

という反論が。

 

「こちらが信じないと向こうが信じないのは、それはそう!って思うけど…」

「疑うのは簡単なのに!」

 

という話題で盛り上がります。


 

でも、信じてうまくいかない、

それで病む、イライラするときは、

 

「信じる、ではなくて、勝手な期待」

 

になっているのではないか?と思うんです。

 

自分がそうだと思って勝手に期待し、

「そうなるといいな」を押し付けてしまう。

 

その期待が裏切られて、「あーあ」と思ってしまうのではないかと。

 

 

  ◯「信じる」は「一方的な期待」ではない

 

 

「待てるいいな」

「入賞できるといいな」

 

それは人間側の勝手な期待や希望です。

「これだけ練習したんだから」という押し付けになっているように思います。

 

うまくいかなくても、

信じて進んできたなら後悔はないはずです。

 

そこには、

納得感や、すがすがしさ、次につなげる前向きな気持ちが生まれると思います。

 

ですから自分は、

うまくいかなかったな、ということはあっても

次は絶対やるぞと思える、そこに本当の信頼関係があると思っています。


 

  ◯おわりに

 

 

人間の使う「信じてるぞ」「期待してるぞ」という言葉にはどこか、一方的な押し付けが隠れているように感じる時があります。

 

でも本当に信じているというのは、純粋に、ただもう何の疑いもなく、「そうである」「そうなる」と、シンプルに、素直に、ストンと心に落ちているものではないでしょうか。

 

ちょうど、小さな子どもが、サンタクロースの存在を信じているような、真っ直ぐで純粋なものだと思うんです。