「犬」といっても個体ごとに違いと良さがあり、知れば知るほど奥深いものです。
ですから、犬をさらにもう1匹迎え入れるか迷う方は多いと思います。
犬種が変われば特性も変わります。
同じ犬種でも性格の違いがあります。
また、「新人」が加わることで「先輩犬」に張りや生きがいが出てくることは、以前このブログでも紹介しました。
ただ、そうはいっても犬は生き物。
飼ったあとに苦戦しないよう、心の準備、心構えは必要だと思います。
◯失敗を繰り返さないように
2匹目の幼犬を迎えたあと、その2匹目をすぐに
「こんどっぐ」に預けてくれた飼い主さんがいます。
なぜかを尋ねると、
「2匹目を飼うことになって、ちゃんとしなきゃ!って思うようになったから!」
とのこと。
よくよく聞いてみると
「1匹目の失敗を繰り返さないように!」
「1匹目の行動を2匹目が真似しちゃうから!」
「今も苦戦しているのに、それが2倍になったら本当に大変」
と話してくれました。
だから、1匹目で苦戦した変な癖やよくない行動を、2匹目が真似しないように、まっさらな状態のうちにトレーニングをしてもらおう!となったそうです。
たしかに、1匹目の行動に不安要素があって、そこが改善されていないのなら、2匹目も苦戦する確率はぐっと上がります。当然苦労も2倍になります。
◯「下の子」はよく見ている!
これは人間に例えると分かりやすいと思います。
お兄ちゃん・お姉ちゃんの行動を弟・妹はとてもよく見ていますよね。
上の子が許される行動は真似しますし、怒られる行動は控えます。
下の子は「要領がいい」なんて表現する方もいます。
ですから1匹目がことあるごとにギャンギャン吠えるなら、
それを見た2匹目もギャンギャン騒ぐようになります。
それまで、ギャンギャン騒ぐことが許されている環境になっているなら
そういうものだ、それでいいんだ、と2匹目も思ってしまいます。
ただし、これは、真似をする犬だけの問題ではありません。
◯そのそもその環境を作ったのは?
1匹目の行動を2匹目が真似しないよう、2匹目を最初から専門家に預けてトレーニングする。
一見、それだけで2匹目はうまくいきそうな感じがします。
でも残念ながらそうではないんです。
そもそもその環境を作ったのは、飼い主本人だからです。
何でもかんでも吠えまくる、なにかあればすぐに唸る・噛みつく。
それを許容して「こうすれば自分の思いどおりになる」と犬に思わせてしまったのは、飼い主の行動の積み重ねなんです。
ですから、たとえキッチリ2匹目を仕上げたとしても、トレーニングが終わって家庭に戻ったときに、同じ飼い方をしていれば、いつの間にか2匹目もくずれていきます。
結局は、飼い主がどのように犬と接しているか、良い・悪いのボーダーラインをどこに引いているかが、犬に出てきてしまうんです。
◯おわりに
今回、幼犬の預りを希望した飼い主さんは、自身でそのことに気が付き、「2匹めを飼うなら、ちゃんとしなきゃ!」と、先輩犬のトレーニングを熱心にしています。
その練習の成果に、飼い主自身でも手応えを感じていて、
「前は絶対できなかった・言うことを聞かなかったことが、だいぶできるようになってきたんですよー!」と話していました。
犬の訓練に携わっている者としては、このように犬のことを理解し、自身を顧みて行動できる飼い主の存在は、やはりとても嬉しく思います。