大事な愛犬には、できればストレスなく過ごしてほしいと思うものです。

 

しかし「ストレスがない」ということはありえません。

 

ちょっとした物音、見知らぬ犬や人の存在、飼い主の不在、我慢をさせられることなど、毎日の生活の中にストレスの種はたくさん転がっています。


 

 

 

 

  ◯ストレスを取り除いてあげれば・・・

 

「ストレスなく過ごしてほしい」そう思えば思うほど、ストレスを取り除いてあげようと考えます。

 

快適で、安全で、何でも言うことを聞いてあげる環境をつくれるのであれば、ある程度取り除くことは可能かもしれません。

 

でもこれって、本当に犬のためになるのでしょうか?

 

我慢がストレスになるからといって、せがまれたらいつでもオヤツを与えますか?

散歩は汚れるし疲れるし、他の犬にも会ってしまうから、ずっとカートに入れて移動しますか?

飼い主の姿が見えないと不安で鳴くから、ずっとそばにいますか?

 

これだと、飼い主がいないと生きていけない、わがままで心身ともに弱い「おぼっちゃん」になってしまいそうです。



 

 

  ◯ストレスは悪者なのか

 

現代は「ストレス社会」などと言われています。

 

ですからなんとなく、「ストレスは悪」のような風潮があるように思います。

 

ですが、身の回りの小さなストレスの原因を克服・またはストレスと感じないようにできれば、「成長の機会」と捉えることもできます。


 

ストレスを「成長のためのハードル」と考えれば良いのです。単なる悪者ではありません。


 

低いハードルから少しずつ克服し、心身ともに強くしていく。


 

「少しの間マテができる」

「知らない犬がいても大丈夫だと安心していられる」

「不安になって吠えなくても大丈夫だと理解させる」

 

しつけを通して、これらを克服していけば良いのです。

 

もちろん精神面だけにとどまらず、体にもある程度負荷(ストレス)をかけることで、筋肉や心拍を強くすることができます。

 

人間の筋肉もそうですよね。

使うことで筋肉がつきますし、使わないと衰えます。

 

重さや時間などを調整して負荷をかけていくことで筋力がアップしていきます。



 

 

 

  ◯ストレスに強くする

 

 

小さなことにでもストレスを感じてしまうと、精神的にまいってしまいます。

積もり積もると、当然病気がちになります。

 

しかし、ストレスは、生きている以上ゼロにすることはできません。

ですから、小さなストレスから順々に乗り越えて、ちょっとずつストレスに強くなるようトレーニングをしていくことが大切だと思います。

 

こうして飼い主と愛犬が一緒に克服していけるなら、犬としては安心して小さな失敗ができますし、飼い主もその場に応じてフォローができます。

 

トレーニング中の失敗はよくあることです。

うまくいかないときに、飼い主が近くにいるだけで安心感が違います。

また、褒めたり、たしなめたり、軌道修正しながら時間をかけて乗り越えていけます。

 

 

いきなり大きなストレスを感じる場面に遭遇した場合は、食事や排泄ができなくなるなど犬自身の体に影響することもありますし、突然飛びかかって他者に怪我を負わせるケースもあります。

 

 

でも、普段から小さなハードルを乗り越えていれば、その負担や失敗は最小限に抑えられます。

 

ですから、子犬の頃から・飼い始めたときから、繰り返しじっくりゆっくり一緒にハードルを超えていく。

 

ストレスを回避しようとするのではなく、ストレスに強くしよう・克服していこうと考えて、心身を育てていく。

 

その子の人生をトータルで考えて、どれほど良くするか、良くなるかを考えていくのが良いのではないかと思います。