最近、犬の本などで「社会化」という言葉を見かけます。

 

「犬の幼少期は社会化が大事!」などと書かれていることもあります。

 

「犬の社会化」とは、どういったものをさすの?という声もいただきます。

 

この「社会化」とは、一般的に使われてきた用語ではなく、社会学や心理学・教育のなかで使われてきた用語です。

 

ざっくり例えると、幼い子どもが様々な人や環境・状況に出会う中で、

 

・「これはOK、これは怒られる(してはいけない)」

・「これは安全、こうすると危険」

・「この場面ではこのように振る舞う」

 

など、その社会で必要なルールや価値観を学んでいくことを指します。

 

近年、犬も家族同様に過ごすことが増えてきたので、犬のしつけの本などでも使われるようになったのかもしれませんね。

 

さて、犬にこの「社会化」を当てはめてみると、2つの側面が考えられます。

 

ひとつは、犬社会を学ぶこと。

もうひとつは、人間社会を学ぶことです。

 

特に、一歳までに正しい社会化をすると、その後の生活が穏やかになると言われています。

 

ですから、犬にとっても、これから生活をともにする家族にとっても、ものすごく大事なことです。

 

当然、犬社会を学ぶのは犬からしか学べません。

 

犬同士で遊んだり、挨拶したりしながら教わったり、教える立場になったりします。

 

木や鳥など自然界にあるものはもちろん、人間社会に存在する、車やトラック、電車などの大きくて動くもの、そのほかの人工物、それらを「なんともない」と思えるまで慣らすことも必要です。

 

このようなことが、犬にとっての正しい社会化です。

 

 

 

しかしこれは、なかなか難しいことです。

 

本やネットでは簡単に書かれていることが多いのですが、本当に難しいことです。

 

例えば、飼い主自身で「犬慣れ」を実践する場合、ドッグランに連れて行く方が多いのではないでしょうか。

 

ドッグランに行くこと自体は悪いことではないのですが、もしそこで失礼な犬にいじめられたら犬が嫌いになり、「犬を見たら吠える犬」になってしまうケースがあります。

 

犬慣れをさせるなら、1番のポイントは「しつけが入ってる犬と会わせること」です。

 

そうすれば、その子からたくさん学びます。

 

 

それを見極めることは、難しいですし、面倒くさく感じるかもしれません。

 

やみくもに犬に会わせれば良いのではなく、犬を見極めて会わせていく。

 

小さいうちからしっかりとした経験を積ませてあげる。

 

これは、飼い主の責任なのです。

 

「犬に慣れさせるだけなんだから、とりあえず犬がたくさんいるところに連れて行けばいいんでしょ?」という気持ちではなくて、「どんな犬と接したら、どんな経験をさせたら、この子にとって成長につながるかな?」という思いをもって、「犬の社会化」に取り組んでみてください。