今日は犬と人間の適切な関係についてお話したいと思います。
基本的に、犬は人間が指示を出さなければ、本能のまま好き勝手に行動をします。
ですから、「コマンド」という形で人間が犬に指示を与えなければ、ちょっとしたイタズラはもちろんのこと、吠える、噛み付く、飛びつくなどの突発的な行動を制御できない場合がほとんどです。
仔犬の頃は伸び伸びさせていても大きな問題にはなりません。
仔犬の力はまだ弱いため、飛びついても噛み付いても誰かに重大な怪我を負わせることはありませんし、たとえ問題行動をおこしても人間の力で止めることができます。
しかし、成犬が同じことをしてしまったらどうなるでしょうか?
成犬は人間の力では抑えることができないほどのエネルギーを持っています。
そのエネルギーが良くない方向に向かうと重大な問題行動に発展してしまいます。
そうならないように、できるだけ早く「指示を聞く」「やりがいを見つける」ということを飼い主の責任として教えていく必要があります。
ただし、指示を聞いてもらうには犬と人間に「信頼できる上下関係」ができてないといけません。
ただ話しかけているのでは上下の関係は生まれません。
それはただの自己満足です。
そして上下の関係と言っても、叩いたり強く叱責して恐怖によって関係を築くものではありません。
飼い主と犬の間に信頼関係があるからこそ怯えることなく自然に「この人の指示は聞かなければならない」と犬に理解させることができるのです。
また、犬のほうが立場が上になっているケースも見られます。
いわゆる「ナメられている」状態です。
例えばはっきりしない態度は犬にとっては指示に従う価値はなく、結果として問題行動を起こします。
犬が「自分のほうがエライ」「この人の指示は聞かなくてもいい」と思ってしまうのです。
ですから、
・まず指示を出す。
・できたら褒める。
これを日常的に行う。この繰り返しが大切なことです。
しかし、残念ながらこのことを意識して実践している人はあまりいないのが現状です。
確かに仔犬の時期はとても愛らしく、ついつい甘やかしてしまいがちです。
ですがそればかりでは正しい上下関係を作ることはできません。
甘やかしすぎた結果、思い通りにならなければ吠える・噛むという犬もよく見かけます。
これでは飼い主は、犬にとってただの「世話をしてくれる人」「エサを出してくれる人」になってしまいます。
ですから、人間の子どもを育てるように、仔犬のうちに、大きくなっても困らないように必要なことを教えなくてはなりません。
ひとつひとつの指示を教え、その指示を繰り返し出して言うことを理解させ、さらに行動が自然にできるまで根気強く続ける。
この繰り返しによって自分の理想とする飼い方に近づけていく。
それが正しい飼い方の順序です。
ここをおざなりにして、「かわいい!」と褒めて撫でて遊ぶだけになってはいませんか?
悪いことをしても、強く叱ったりリードを強く引いてショックをあたえることを「かわいそうだから」とやめていませんか?
犬はおもちゃではないですし、一度設定したら望みどおりに動くロボットではありません。
理想の飼い方はそれぞれあると思います。
しかしそれは一足飛びに手に入るものではありません。
人間の私達が、小さな頃から少しずつルールを教えられてきたように、犬にも少しずつ必要なことを教え、お互いが気持ちよく過ごせるようにしていかなくてはなりません。
母犬は、仔犬が悪さをしたときには激しく吠えて教えます。
それでもやめなければ思い切り噛み付いて教えます。そのくらい、母犬は、生きていくためのルールを教えることに真剣なのです。
「命あるもの」を飼うということは、それほど責任のあることだと心に刻んでいてほしいと思います。