突然ですがみなさんの家にいる犬は、「おすわり」ができますか?

 

「おすわり」のほかにも、「ふせ」や「まて」は比較的よく知られる指示なので、家庭で教えていることも多いと思います。

 

ですからきっと「うちの子はできるよ!」と答える方が多いと思います。

 

でもその「できる」は、本当に「できる」といえる状態でしょうか?

 

実は条件付きの「できる」ではないですか?

 

「おすわりしやすいよう手を添えてあげるとできる」

「おやつを手に持っているときはできる」

「犬の正面から指示を出したときだけできる」

「家の中でだけできる」

 

など、何かしらの条件があてはまったときはできる、けれども条件に当てはまらないときはできない、という状態かもしれません。

 

 

 

さてこれは、はたして「できる」といえるのでしょうか。

 

もちろん、条件があるときに「できる」ことが、いけないわけではありません。

 

最初のうちは、手を添えたりおやつを用意したりしながら、落ち着いた家の中で練習しなければ、ひとつの指示を習得できません。

 

練習する中で、少しずつ、手を添えなくても、家の外でもできるようになってきます。

 

そして最終的に、おやつがなくても、外でも中でも、他の犬や人が近くにいても、雨が降っても雪が降ってもできるようになります。

 

条件にかかわらず「できる」。

これが本当に「できる」ということです。

 

つまり、条件付きの「できる」は、本当に「できる」までの途中の段階です。

 

 

ここで大事なのは、「まだ途中の段階なのだ」ということをしっかり認識することです。

 

途中の段階で満足していると、いざというときに指示を聞いてもらえず、事故やトラブルにつながる危険があります。

 

例えば、散歩中にリードや首輪がはずれてしまった、家から逃げ出してしまった、という咄嗟のときに、おやつを準備したり、犬の正面に移動して指示を出すことはできません。

 

そのまま道路に飛び出してしまったり、近くの人に飛びついてしまったら、取り返しの付かないことになるかもしれません。

 

 

ですから「おすわり」や「ふせ」「まて」は、しぐさがかわいいから覚えさせる、みんなやってるから教える、というものではなく、

 

いざというときのために身に着けておくべき、重要な指示なのです。

 

ときどき「できる」、何か条件があったときに「できる」ではなく、条件に関係なく、自然に「できる」ようにならなければ意味がありません。

 

そのためには、例えば私たちが掛け算の九九を何度も暗唱したように、繰り返し繰り返し練習しなくてはなりません。

 

そして、今、どの段階かということを意識しながら、焦らずじっくり、本当の「できる」になるまで教えていかなくてはならないのです。