私は北海道でドッグトレーナーの仕事をしています。
この仕事を始めて7年になりますが、昨年、犬との向き合い方について改めて考えさせられる出来事がありました。
それは北海道で起こった大きな地震、胆振東部地震です。未曾有の大地震とその直後の停電、断水。北海道全域で深刻な事態となりました。
あの時、痛感したことは「犬のしつけの大切さ」です。
地震の直後、パニックになってガラスを踏んでケガをする犬や、怯えて吠え続ける犬、環境が変わってエサを食べられない犬がいました。
また、避難所へ行っても、うなる・吠える、トイレがきちんとできないなどの行動がトラブルの原因となり、受け入れを見合わせることになった犬がたくさんいました。
しかし、このようなことは普段から適切なしつけをしていれば回避できることです。
実際に、災害時、私のところには10匹以上の犬がいましたが、トレーニングされた犬はパニックに陥ることなくスムーズに避難しました。
そして、ライフラインが復旧するまで大きな問題もなく過ごすことができました。
災害が起きたあと、防災グッズや、ペットのための持ち運べるサイズのエサ、移動用のゲージなど「物」を買った方は非常に多かったと思います。
しかし、いくらエサがあっても、ストレスで食べなければ意味がありません。
立派なゲージがあっても、その中にスムーズに入るトレーニングをしていなければ災害時に役に立ちません。
しつけは、緊急時に最大の効果を発揮します。
パニックによるストレスや、飼い主と離れることで起こる不安などはしつけで解消できます。
適切なしつけを施しているかどうかは、もしもの時、何かあった時に最愛のペットを守ることにつながるのです。
「しつけ」と聞くと、何かとても厳しい訓練をして、犬をがんじがらめにするのではないかと思う方もいるでしょう。
しかし、しつけを通して犬に教えることは犬の習性を生かしたもので、決して犬に無理強いをするものではありません。
むしろストレスから解放し、安心して過ごす手助けとなります。また、飼い主との信頼関係を築くものでもあります。
物は買えば済みます。
しかし、しつけは普段からの積み重ねで身につくものです。
このブログでは、基本的なしつけのポイントや、注意すべき点、しつけがなぜ必要なのかという解説などを紹介していきます。
大切な家族の一員である、あなたの犬について、最適なしつけの方法を一緒に考える機会となれば幸いです。