『大仁田厚 4』から続き。

イメージ 1『大仁田厚・血と炎と涙 ~超歴史的デスマッチの全て Vol.3』
1994.5.9
引退表明記者会見
大仁田は翌年の5.5に引退することを発表する。

1994.8.28 大阪・大阪城ホール 観衆15,382人
ノーロープ有刺鉄線電流爆破バリケードマット・ダブルヘルデスマッチ
大仁田厚 VS 青柳政司

リング2面に有刺鉄線が巻かれ電流と爆弾、あとの2面(ダブルヘル)はガラ空きで場外に有刺鉄線の海と爆弾。
空手家・青柳の蹴りを食らい続け、徐々に後退してゆく大仁田。背後に有刺鉄線が迫る。観客が騒然としてくる。
そして大仁田被爆! 音が結構凄い。地雷でなく電流爆破の爆破音としてはかなりキテる。さっそく腕と背中から流血の大仁田。
試合が展開するにつれ、腕の流血がけっこう酷い。青柳の白い空手着も大仁田の血で染まっていく。
ダブルヘル側の縁にいた大仁田に青柳が蹴りをブチ込み大仁田転落、2度目の被爆!
1度目の被爆前に背後をチラチラ確認する大仁田、2度目の前に背後に後退する不自然さなど、まぁ前々からって言やぁ前々からなんだけど、“被爆してしまった”ではなく 明らかに自分から被爆にいってるよね(苦笑)。
1つには観客が爆発を求めてるからだろう。
もう1つは、大仁田が危険な状況とか怪我するってことに、生きがいを見出してるような感がある。死に接近することで生を確認してるような。
これまでの爆破マッチもそうだけど、大仁田は積極的に相手の方を被爆させようとはしていない印象がある。逆に自らが進んで被爆してるようなフシすらある。
…まぁ良くいえばそうで、悪くいえば自己陶酔の極みとも取れなくもない。
もしかしたら引退を表明したのは、自分で自分を止めるためかもしれない。
ダブルヘル逆サイドに青柳を落として被爆させる大仁田だが、自分も一緒に落ちている。やっぱり?(笑)
結構興奮するんだろうか? やっぱ爆破は漢(オトコ)のロマン?
でも大仁田のいいところ?は先述した 相手を被爆させることを優先させてない点で、これ、人間より獣に近い奴(ケンカ好きな奴とかのことだよ)なら相手を被爆させることに集中するだろう。
大仁田って やってることは過激だけど、意外に好戦的ではないのかもね。
戦うとかデスマッチというものに対して、勝つことが目的ではなく、別のことにこだわってる感じがする。
大仁田がリング内に戻ろうとすると、あ! 場外で極悪ポーゴが大仁田にファイヤー攻撃!
青柳の蹴りの連打に、両腕でガードしてるとはいえ、人間サンドバッグ状態の大仁田。
…ここにも大仁田のこだわりを感じ取れない気がしなくもない。
普通なら自分は無傷で一方的に優勢で勝ちたいわな。でも勝ちゃあそれでいいってのか? それが本当に強いといえるのか?
“大事なのは、どれだけパンチを放てるかじゃない、どれだけ受けられるかだ。それが人生だ。”
やられてもやられても屈しない、諦めない、人生の困難やイジメなどの問題…に対してそういうメッセージ性を打ち出してるとも感じ取れる。(単にMなんだろうか?・苦笑)
プロレスだから表現可能なドラマ。純然たる格闘技で相手の攻撃を意図的に受けてたら負けて試合が終わっちまうよ。
他の格闘技やスポーツは勝ち負けが問題だけど、それって呆気ない。
「勝ち負けで決まるならきっとずっと人生はたやすい」(by篠原美也子)
爆破マッチは既述した社会的とか生物学的なテーマもだし、そしてこういう人生の投影や精神的なテーマも孕んでいる。
試合に勝った大仁田はダウンしている青柳を気遣う。
…気遣いってのも大仁田のデスマッチの大きな要素の1つだね。
試合は相手がいなければ成立しない。ましてやデスマッチはなおさら、受けてくれる相手がいなければ成立しない。共に危険な場に立ってくれた相手に対する感謝とリスペクトの念があるのではないだろうか。
(それもあって、積極的に相手の方を被爆させないのかもしれない、ってとこもあるかもしれない)



1994.9.7 北海道・札幌中島体育センター 観衆5,880人
ノーロープ有刺鉄線バリケードマット・ストリートファイト・ダブルヘルデスマッチ
大仁田厚 VS ミスター・ポーゴ

そのわずか10日後!
怨敵ポーゴとのデスマッチ。ゴングが鳴る前から互い相手に突進、大仁田は積極果敢にポーゴをダブルヘルに落としにかかってる。
さっきと言ってること矛盾してねーか?(苦笑)
いやいや相手がポーゴなら話は別。ポーゴが極悪スタイルだから前のめりに勝ちにいく大仁田が観れて、こっちもテンション上がる。
ダブルヘルの縁でノーハンド頭突きの大仁田、ヨロけるが落ちそうで落ちない相変わらず絶妙なポーゴ。
大仁田もポーゴが相手だと伸び伸びやれるのかもしれない。
例によって鎌を持ち出し大仁田の背中を突き刺しグリグリやるポーゴ。
さらにセコンド?から長テーブルの切れっ端が投げ込まれ、それでバコン!と大仁田を思いっきりブッ叩く。
ここでもの凄い場面が!
テーブルの切れっ端を奪われたポーゴが鎌を手にすると、大仁田にフルスイング! マジか!?
しかし大仁田はテーブルの切れっ端でガード! 鎌が貫通するが、食い止めた! 凄い! 観客からも「うぉーっ!」という声と拍手が巻き起こる。
爆破と同じかそれ以上に危険な場面!
これはガードした大仁田に拍手喝采といったとこかもしれないが、真に評価されるべきは信頼のブランド、ミスターポーゴかもしれない。
ジェット・シン同様ハイクオリティな暴走みたいな。
シンの実際の人となりは紳士らしいが、ポーゴも実際はいい人だって聞いたことがある。
大仁田がポーゴの頭にテーブルの切れっ端をフルスイングでブチ込むと、切れっ端がベキッ!と壊れる。
ポーゴを有刺鉄線にブチ込み、そこへ自ら突っ込んでタックル! 有刺鉄線が連続してポーゴに食い込む。(爆破マッチではないので爆発はしない)
だが再び突っ込んできた大仁田をかわすポーゴ。有刺鉄線に正面から食い込んでるリバース磔状態な大仁田の背後からポーゴがファイヤー攻撃! 大仁田の背中が焼ける。
さらにパイプイス3個の上でパイルドライバー。
あげくの果てには有刺鉄線をグルグル巻きにしたバットで大仁田を殴打!
それでも大仁田からスリーカウントが取れない。
ファイヤー攻撃に出ようとするが、大仁田から有刺鉄線バットを食らって火種を落としてしまう。
大仁田が燃料(アルコール?)と火種を拾って逆にファイヤー攻撃!
そしてイスの上でぶっカマしたDDOでフォール勝ち。この時の観客の熱狂ったら(笑)。
しかし試合後、ポーゴの呼び込みで他所の団体の金村キンタローが乱入、大仁田を有刺鉄線バットでメッタ打ち。
場外へ駆け出す大仁田! バックステージまでポーゴを追っかけてって大乱闘!
アツい! たまんねーな この大混乱(笑)。
バックステージ通路でゴミ箱ブン投げて大荒れの大仁田!



1994.9.25 東京・神宮プール 観衆3,200人
ノーロープ有刺鉄線電流水上機雷爆破ダブルヘル6人タッグマッチ
大仁田厚/ミスター雁之助/新山勝利 VS ミスター・ポーゴ/ザ・グラジエーター/保坂秀樹

その月も変わらぬうちにまたもや爆破マッチ!
もうテンパッてるというかリーチかけたというか無限軌道に乗ったというか単に暑かったからか、しかも「神宮プール」で「機雷」ときた!
場所がすごいな。普段は家族連れとかで賑わってるであろう現代日本のアミューズメントな施設が、デスマッチの場と化す。
プールの真ん中にリングが設置され、選手はボートで入場。
場外(リングと水面の間に1.5メートルぐらいの空間がある)で大仁田がダッシュしてきてポーゴにノーハンド頭突き! 凄い。
そして落ちそうで落ちない磐石のポーゴ(笑)。
グラジが新山かな? をボディスラムで抱え上げてプールに放り込むと、場外からさらに数m向こうに設置された特効みたいなのからボン!と爆炎&爆煙があがる。
例によって鎌で拷問攻撃のポーゴだが、この時は大仁田の背中ではなく腹に突き刺している ガクブル((;゚Д゚)) ガクブル
しかし大仁田が鎌を奪って逆襲&有刺鉄線バット攻撃、グラジがリング内から場外越えてプールにダイレクトに落ちて爆発!(さすが巨体ながら場外へダイブ技をカマすグラジらしいダイナミックな落ち方)
リング上ではポーゴがファイヤー攻撃連発で大暴れだが、誰だかがポーゴを場外に落としプランチャ(場外へのダイブ技)、一緒にプールに落っこって爆発。
保坂に有刺鉄線に向かってハンマースローで振られた大仁田が逆に振り返して保坂を有刺鉄線爆破!



1994.10.30 岩手・岩手産業文化センター 観衆5,667人
ノーロープ有刺鉄線電流地雷爆破ダブルヘル時限爆弾デスマッチ
大仁田厚 VS ザ・グレート・サスケ

その翌月、また爆破マッチ。
大仁田とサスケの間に遺恨はないはずなんで、これは岩手出身のサスケが岩手を盛り上げようと仕掛けた命を張った町興しならぬ県興し? (サスケは後に岩手県議会議員になる。)
最初の起爆は2人一緒。重めの炸裂音もなかなか凄いが反動で跳ね返ったかにみえる倒れ方も結構凄い。
攻められててグロッキー気味だったのがダブルヘルに落とされかけた時のサスケの瞬発力炸裂なよけ方が臨場感ありまくり! (逆にサスケに振られかけた大仁田の踏み止まりっぷりもこの時はリアル!)
サスケをハンマースローで振る大仁田! サスケ アウトかと思いきや逆に振り飛ばして大仁田被爆!
この試合はサスケのリアクションが切れ味あるからか、電流爆破の攻防が緊迫感ある。
さらにダブルヘルの縁でサスケのフライングニールキックを食らって大仁田が場外に転落、地雷が爆発!
サスケも常識破りなところがある男だが(去年の年末も“宇宙大戦争”とかって宇宙服コスプレで登場したり巨大な桶に頭突っ込んだまま場外にダイブしてたようだけど(笑)。これ観たかったな!)、この試合でもサスケはとんでもない場面を作り出す。
なんと場外の大仁田に側転から有刺鉄線越しのトペコンヒーロ! (トペコンヒーロ=リング内から場外にいる相手に向かってトップロープ越えで前方回転してダイブする技。それをロープ越えでなく有刺鉄線越えでやったんである!)
リング内に戻ると大仁田にジャーマンスープレックスホールド。スリーカウント取れないとがっちりヘッドロック。バックドロップで投げられるが、すぐさま再びがっちりヘッドロック。サスケの姿に気迫が漲る。
しかし大仁田がサスケを有刺鉄線に振って爆発! この時のサスケの倒れ方がまたエキサイティング!
時限爆弾炸裂まであと1分とアナウンスされ、サスケが側転からボディアタックするが、大仁田がそのままいなしてダブルヘルにサスケを放り込む。爆発!
時限爆弾爆発3秒前に大仁田がフォール勝ち、しかしもう後がない!
大仁田がレフェリーに伏せろ!というようなことを叫んでいる。そしてフォール状態で覆い被さったままサスケをかばい、大爆発! リング全体が爆煙で包まれる!