梅雨の間は特にやりたい話もないんで、好きな作品でこれまで取り上げてないやつを短文でいいから片っ端から取り上げようかなって、思ってて。季節感の強いものはとっとこうとも思ってるけど。
改めて観ないで、記憶で書いてこうかなとも思ってる。観直して書くと長文になるしさ(苦笑)。記憶で書いても長文になるかもしんないけど(苦笑)。
ま、とりあえず始めよう。今回は――

イメージ 1
『マッドマックス』のPART1。
これ↑はポスターとかチラシのビジュアルなんだけど、この時点ですでに奇跡が匂うよな(笑)。
人物のファッションといいポーズといい背景といい、これを描いた人はどんだけ凄まじくイカしたセンスなんだというカッコいいイラスト。
(ちなみに本編にこんな場面はない(苦笑)。でもインチキじゃないわけ。5割増で盛り過ぎっつーか美化し過ぎかもしんないけど、
なんつーの、昔の映画館の看板みたいな、ただ主要登場人物描いたりといった絵は嘘偽りはないけど、パッションがねェよな。
オマエはこの作品を愛してんのか?と。“お仕事”で描いてるだけじゃねーのか?と。やる気あんのかと。顔が似てねェし(←苦笑)。
でもマッドマックスの このイラストは写実性じゃなくイメージだよね。本編観て衝撃を受けた興奮をそのままキャンバスに叩きつけたであろう、本作のテイストを激しくフライングしてビジュアル化したグッジョブ! これが“男の仕事”だろッ
この映画観て感じたものを描いてるんだから、嘘じゃないんだよ。…たぶん(笑)。)
金属感に満ちゝたタイトルデザイン。(真ん中の「マ」だけデカいのもビジュアル的にいい&バランスがいい!)
バキバキの近未来感&アグレッシブなバイオレンステイスト――
キテる…きまくりやがってる!
(ついでに言えばさ、「マッド」=狂気/「マックス」=人名なわけだけど、英語わかんない日本人が読んだら「マッドマックス」っていう一語だからね、意味わかんないと語感で感じるから、「マ」と「ド」が効いてんのかな、迫力あるタイトルなんだよね、それがまたカッコいい。)

本編そのものはというと、まぁなんつーか、カメラは捉えた!激撮!決定的瞬間!世界衝撃映像!みたいな、あるじゃん事故映像みたいなの、交通事故の瞬間とか、そんな感じ。
カーチェイスの映像がスゴイんだよね。
高速!突っ込む!追突する!ブチ抜けてく!スピンする!
あまりにもダイレクト。
どっかで読んだんだけど、監督のジョージ・ミラーはかつて医学生で、オーストラリアは車社会で(本作はオーストラリア映画である)、車の事故で搬送される患者が多かったらしい。
あのカーチェイスの凄さ、生々しさはそこからきてるみたいな。
カメラを車体に据え付けて撮ったアスファルト スレスレの走行映像も凄い。

この映画がヒットした要因として他に、カッコいいってのがある。
警察側の全身黒ずくめのレザールック。
主人公のマックスを演じたメル・ギブソンはイケメン。…垢抜けないけど(笑)。
マックスがクライマックスで乗るニトロ搭載の黒い車(スーパーチャージャーV8インターセプター)。
ヒーロー性がある。(この場合の「ヒーロー性」ってのは単にカッコいいって意味ね。)
凄さだけならいわゆるカルト映画で終わってた。本作がこれほど世界に浸透し時代を超えて生き続けてるのは、このヒーロー性・カッコよさに因る。

物語は、近未来の地球上は石油不足でガソリン強奪日常茶飯事、オーストラリアの路上は暴走族が走り回り、走行中のタンクローリーに乗り移ってガソリン盗んだり(←スゴイ・笑)、カップルが乗ってる車を斧かなんかで襲撃したり、もうムチャクチャ。
だからそれに対抗する警察もゲージがハネ上がってて、族相手に公道でカーチェイスとか展開してたりする。
族狩りの凄腕マックスは家に帰ればカワイイ奥さんと子供(赤ちゃん)がいる、幸せい~っぱいラブラブ家族持ち♪
だが同僚で、(お仕事中は)クールなマックスと違ってハジけたアンちゃん、殺しても死なないと思われたグースが、
族の罠にはまって車を転倒させられ、ガソリンが漏れる中まっ逆さまで身動き取れないところへ火をつけられ燃やされて、全身ケロイド状の“人間の残骸”になり果てる。
マックスには自分のやってる事が族と何処が違うのかという自覚があった。
それに加えグースの件で、走るのが怖くなったマックスは警察を辞める。
それで家族でバケーションに行くんだけど、そこで族に奥さんと赤ちゃんを轢き殺される…

そうしてクライマックスは族を追撃しまくり全滅させる怒涛かつ悪夢的カーチェイスへ――
日本の配給会社はスタントマン2人死亡をデッチ上げたが(この東宝東和的宣伝センス・笑)、それにダマされたのも当然な、凄いスタントの数々。
今の映画にはない凄みが炸裂。
特に橋の上でマックスの車が族の集団に突っ込んだ時の(突っ込んだ瞬間そのものは編集でごまかしてる(?)けどさ)、転倒した族の1人の頭部に転がってきたバイクが激突するとこなんかヤバいだろ。
あと このクライマックスのいいトコは、奇妙な不条理感とか静寂が漂うとこ。
残る3人の族を見失ったマックスは車を停めて降りると、路上に独り佇む。
さっきまでの激しいチェイスとはうって変わった静寂が、奇妙であり、また心地良くもある。
…と、草むらから銃撃され、アスファルトに倒れるマックス。路上に転がるマックスのショットガン。
バイクが現れ、マックスが慌ててショットガンを取ろうと手を伸ばすと、腕をバイクに轢かれる! おあっ!
ヘンな話ここ結構興奮する(笑)。
この場面で1人射殺し、再び乗車したマックスが去った後、その遺体にハゲタカかなんかがとまる、こういう映像も印象深い。
次の1人を怒涛の追撃! もの凄いスピード感(凄みすら炸裂する)。コイツはタンクローリーかなんかと正面衝突して(←モロに見せる!)豪快に死亡!
激突寸前にコイツの見開いた目がドアップになるのがまたド迫力にシュールでいいんだ!
最後の1人(グースに火をつけた奴)を探してマックスが走行してる場面はシュールな幻惑感が漂いまくって、これがまた妙にすごくいい感じ。
復讐・バイオレンス・どこまでも続くハイウェイ…いつ果てるともしれないかのような孤独な徘徊の果て(タイム的には20~30秒程度だったっけ? でも果てしなく感じられる)、
転倒してる車の傍で死んだドライバーかなんかの物をそいつが漁ってるところへマックス登場。
その車とそいつの足を手錠で繋ぎ、漏れてるガソリンにライターをセッティングすると、引火する前に足を切り落として逃げれば助かるとノコギリを放って無情に立ち去る。

…というわけで素敵なバイオレンス度を誇る本作なんだけど、
あとあれだな、画的にいいんだよねこの映画。
今のオーストラリアはどうだか知らないけど、マッドマックスのオーストラリアはとにかく広大で、見渡す限りだだっ広い荒野のような大地にハイウェイが延びているという光景が異様というか、マッドマックス以外にこういう風景はあまり見かけない。

この映画が世界中どこよりも日本で一番ヒットした(らしい)ってのがまた素晴らしいじゃないの(笑)。
売り出し方が良かったよな。そういうのって世界中で日本が一番秀でてるんじゃない?
東宝東和に代表されるような あぁいうやりたい放題な宣伝戦略…戦略ですらないかもしれない(笑)、あぁいうオーバーヒートぶりって他国には無いと思うんだけど。
あぁ、あとそういえば『北斗の拳』とか北野武の映画とかもそうだけど、日本ってバイオレンス描写も突出してる国だよね? それが一番の日本でのヒットの理由?
日本人って世界中の人種の中でトップクラスで理知的じゃん? なのにそういうとこもあるのが不思議だよね。
っつーか また長文だよ!(苦笑)。まぁいいや。
『マッドマックス』シリーズ3作品の中で俺の好みで言えばPART1は3番目なんだよ(苦笑)。
『サンダードーム』の方が好きだもん俺(笑)。
でもこうして取り上げてみると、結構言う事あるもんだな。

まぁ…映画ってさ、アカデミー賞とかパルムドールとか獲ってなくても映画史に残る映画ってのがあるんだよ。
ってかアカデミー賞とかパルムドールとかってのがそもそもどうでもいいもんなんだけど。
あのへんの権威というのは映画をわかってない。
俺に言わせりゃ映画史に残る映画ってのはマッドマックスの1&2とか『ブレードランナー』とか『白い船』とか、『男たちの挽歌』『攻殻機動隊』『ロッキー4』『コマンドー』『デモンズ』『銀河鉄道999』『プロジェクトA子』とかだよ。『ターミネーター』とか『悪魔のいけにえ』もかなぁ?
今パッと浮かんだやつだけだけど、もっとある。なんかね、非常に美しいとか、夢があるとか、ただならぬものを感じる作品とか、なんか宿ってんじゃないかとか、凄過ぎとか、100%を振り切ってるよねってな作品。
シナリオがどうとかじゃない。映画ってのは映像と音なんだから。あるいはドラマをシナリオではなく映像や音で表現出来てるか。
『マッドマックス』は単純にもう映ってるものが凄いんだけど、さらにあそこまでいくとなんか別のものを感じるんだよね。
ただ単に凄いじゃなくて…うまく言えないけど、あまりに凄いとその先に何やらみえてくるものがある。
なんていうんだろう、スポーツとか格闘技の選手なんかが極限の激闘を繰り広げるとある時点から先、勝負や試合といった次元じゃないとこに突入するような…?
権威に認められた映画にはそれが無い。だから権威が認めた映画ってのは基本的に他愛のない作品だと俺は思ってる。他愛のない作品がいいんならテレビドラマを見てればいい。
テレビは各家庭にあって誰でも見るから、テレビドラマってのは必然的に最大公約数になって、基本的に万人が分かる角のない丸い作品にしかならないからさ。