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『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』
「年末はトム・クルーズ! 今年失ったエナジーを補填だッ」とか言ってたけど、まぁなんだかんだで後回しで、結局年明けの鑑賞ですよ。
(以下、バリバリ ネタバレあり)

映画始まって、しばし観てて、
面白いんだけどなんか手ぬるいな…
と思ってると、キタよ。

ロシアの偉い人に変装してクレムリンに潜入しコトを済ませたイーサン=トム・クルーズが、
建物から出ながら顔剥いで制服脱ぎ捨てると、その下に…なんて書いてあるかよく読めなかったんだけど、なんかかなりアメリカンな感じのTシャツ着てて笑えるんだよ。
しかしその直後。歩いてクレムリンから遠ざかってくイーサンの背後でクレムリンが大爆破!
慌ててダッシュするイーサンに迫り来る爆発!
ヨシきた! ここスゴイ。
ここから映画のギアが入る。
爆破容疑がイーサン及びイーサンの所属するIMF(なんの略だか忘れたよ。調べるのも億劫だ・苦笑)にかけられ、
責任者は殺され、IMFはアメリカ政府から切り離される…。
出た。
トム・クルーズの『ミッションインポッシブル』の伝統(?)と言えば?
そう、
四面楚歌。
孤立無援。
しかも今回はイーサン個人が四面楚歌じゃなくてIMF自体が潰れたから、組織的支援は無い、もう組織自体が無い。
シリーズ最大の危機♪
メンバーはイーサン含めその時いた3人と、成り行きから加わった1人(←これが結構いいんだ)の、計4人のみ。
武器及び装備はコンテナ1つ分だけ。
あとはもう何も無い。誰も来ない。
これだけで、核戦争勃発を食い止め、IMFの汚名を晴らすのだ!

828メートルだかのドバイの超高層ビルのシークエンス。
予定外でコンピュータに侵入出来ない事が、よりによってミッション開始20数分前に判明し、なんだっけ? なんか11階上のコンピュータ室みたいなとこにビルの外から侵入する。
ハイテクグローブでビル壁面をクライミングし、片方吸着力切れて落っこって片手でくっついて止まって、また登ってって、着いたけどガラスがなかなか破れないとか、
事は済んだけどエレベーター待ってたら間に合わないからって、なんだかよくわかんなかったんだけど なんか掴んで窓から飛び降りてビルの壁面突っ走って、
そしたら今度は長さが足りなくてダイブして、
もう上がったり降りたり走ったり飛んだり大騒ぎ(笑)。
スリルたーっぷり、ここまでやるかっていう(笑)。
あげく砂嵐まで来るしな(笑)。

クライマックス、立体駐車場内での、香港映画も真っ青のきまくりやがってるゴツゴツのタフネスロングランバトル!
昇降しまくるパレットで、あっちに飛び移りこっちに飛び降り、最後は車ごと垂直落下の荒業!
ちょっと乱暴だよアンタ!
ま、なんだかんだでハッピーエンド。
ふぅ。
やってくれる(笑)。

本作の魅力。
(特にクライマックスの)ガッツガツの肉体的タフネス。
カッコよくてイキのいい49歳(トム・クルーズ)が見れること。
そして…
俺、最初これ及第点って思ったんだよ。シリーズ前3作に比べてドラマティックさが足りないって。
でもそうじゃなかった。
人のレビュー読んでわかったんだよ。
スパッと解決出来ないんだよね、今回のミッション。最初のプランがどんどん崩れていって、臨機応変に対応してくんだけど、どうにもうまくいかなくて、ちょっともうどうしようもないんじゃないの…?となっても、まだ諦めない。
失敗のカバー・破綻に対するリカバリが全編展開し、その頭の切り替え・挫けない意思が描かれる。もうそれがテーマといってもいい。
肉体だけじゃなく精神的にもタフ。
トム・クルーズ、いろいろあって落ち目だったわけだよね。
そうして作られた本作、これまでの共同制作者がいなくなって、トム・クルーズ単独。
そんなPART4がこういう内容で、現実のトム・クルーズがかぶると。
…これってかなりドラマティックじゃないの。
そこに気づかなかった自分を恥じたいね。

そうなると、「もう上がったり降りたり走ったり飛んだり大騒ぎ(笑)」などと言ったドバイのビルのシーンも、単にスリルやお笑いじゃなくなる。
予定外の事態、失敗に、
諦めない、投げ出さない、後回しにしない、
何が起きても対応する機転と、機動力と、折れない心。
これがこのシーンのみならず、全編を貫いて繰り広げられるんである。
そうしてクライマックスのハードアクションに行き着く。
乗り物や爆破などの大スケールのアクションじゃなく、体1つのハードヒッティングな生身のアクション。
あまりにハードで観応えバッキバキなんで観てる間は不満を感じることはないが、
改めて、クライマックスがなんで大掛かりなアクションシーンでなく、ド派手さを排除したゴリゴリの肉弾ハードアクションなのか…
自力で困難を乗り越える映画だからだ。
不屈の精神の表明だからだ。
そうなるとクライミング場面の写真と「不可能を超えろ。」のキャッチコピーで構成された本作の宣伝素材が、いかに本作を忠実に表現してるかがわかる。
この映画には、人として大事なエナジーが漲ってる。
トム・クルーズ渾身の映画。全身全霊を込めて作ったと思われる。
スタローンの『ロッキー』シリーズのように。ジョン・ウーの『男たちの挽歌』のように。
本作には、トム・クルーズという1人の人間の思いや願いが、詰まりまくってる。
いつぞやの、イベントでファンに頑張ってって言われたトム・クルーズがわざわざUターンして戻ってガッチリ握手して「君もね!」と応えたエピソードを思い出す。
俺は負けない。だから君も負けるな!

本作を年の初めに観ることは、初詣や初売りに行く事を上回る行為と思われる。
去年の年末観るより、今年の初めに観て正解だった。
そして、まぁ大げさかもしんないけど、そういう意味では、人生のフェイバリットムービーにもなり得る。生きる勇気を与えてくれる。
いいもん作ってくれたよ、トム・クルーズ。
映画館で観る時は必ずサービスデーに¥1000で観る主義の俺が、ちょっと月初めに行きそびれて¥1800も払って観てきたんだけど、損したとは思わなかったよ。結構なもん観せてもらった。
これはちょっともっかい観直したい。