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この映画をジョン・ウーの最高傑作に挙げる人は多い。
盟友の裏切りと贖罪、敵との間に芽生える友情…凄絶なアクション映画だが濃度の高いセンチメンタリズムも漂いまくる、ハード&メロウな心揺さぶる傑作。
男性にも激燃えの映画だが、女性が観ても激萌えな映画(笑)。
でもセンスの無い奴は観るな(良さがわかんねーから)。

 

最初、男2人×女1人のラブストーリーで撮るはずだったのが、ヒロイン役のサリー・イップが新婚旅行に行くとか寝ぼけた事言い出して(どっかでそう聞いた)彼女のスケジュール確保が困難になり、急遽男の友情ドラマに変更されたらしいんだが、
イップがフェイドアウトしてくれてよかったよ(苦笑)、おかげで男の至高のドラマが生まれたんだから。
ハプニングとかトラブルってどう転がるかわからないもんだね。


 

まず本編が始まる前に製作会社のマークが次々出るが、出演者の1人でもあるダニー・リーの会社マグナムのマーク、銃撃音と共に「マ」「グ」「ナ」「ム」 ドヒュ!ドヒュ!ドヒュ!ドヒュ! とか出やがって アツいねーダニー・リー(笑)。

 

イメージ 2オープニング、教会の通路を歩いてくる主人公の殺し屋ジェフリー(チョウ・ユンファ)のカットのバックに流れるイップの歌のイントロ、途中からフェードインしてくるんで聞き逃しそうだが(ヘッドホンで聴いてくれ)、
歌はどうでもよろしい、イントロのピアノの旋律が、この切ない物語のスタート&ジェフという男に重なって、なかなかいいのよ。

 

イメージ 3次いでジェフの銃撃戦。
俺思うんだけどさ、銃撃も編集も本作がウー作品史上一番センスがいい。
オートマティック拳銃の銃撃が硬くていい。ユンファの撃ち方も時に落ち着き払い(エレガントですらある) 時にアグレッシブで、最高にカッコいい。
(ついでに、刑事リー(ダニー・リー)の武器密売おとり捜査シーンで登場する悪党エディ(凄い顔・笑)、コイツがもの凄い2挺撃ちを見せる。ユンファの優雅さと対極の猛り狂った2挺撃ち(笑)。)
編集も、スローモーションの使い方のバランス&センスがいい(これより後の作品はやり過ぎ)。
で お話だが、ジェフはたまたま巻き込んでしまった女性ジェニー(サリー・イップ)の目の前で銃を撃ってしまい、ジェニーは失明寸前。

 

イメージ 4ジェフの盟友であり 元殺し屋/現ジェフのエージェントであるシドニー(チュウ・コン)が、中南米の麻薬王暗殺の仕事を依頼するシーン。
殺し屋を辞めたいジェフだが自責の念に駆られており、ジェニーの目の手術費用の為、これを最後の仕事と 高いギャラで引き受ける。
シドニーを演じるチュウ・コンはなんだか情けないというか気の毒なルックスで(笑)、充てられてる声も(香港映画は俳優本人の声でなく別人のアフレコだと聞いたことがある)優しく こもり気味な声(笑)で、妙にいい味出してて好感度が高い。
シドニーの「なぜ引き受けた?」のセリフの次、ジェフの顔がストップモーションになり、ここで流れる曲!
レクイエムのような、賛美歌のような、美しいというかすごくセンチメンタルなスコアが流れる。

 

ちなみに本作のスコア、半分はローウェル・ローによるオリジナルスコアのようだが、
もう半分は堂々と『レッドブル』のジェイムズ・ホーナーのスコアを流用している。
許可取ってんのか?(苦笑) 本作はアメリカでも(ソフトのリリースだけでなく)ブルース・リー以来のアジア映画(アジア人主演映画、だっけ?)全米劇場公開を成し遂げた作品のはずだが…。
この『レッドブル』スコアが、テイストはオリジナルの『レッドブル』の方が実に合ってたと思うが、使い方は本家より『狼~』の方が効果的。
で、一方のローウェル・ローのスコアが傑作! くっそー、サントラ出して欲しかったなー…。そのくらい素晴らしい! ハート直撃の感動的な曲が揃ってる。
ローとホーナー、感動と迫力の連立Wスコアが映像と合致して、素晴らしいドラマが展開される。

 

イメージ 5この映画、スーツのセンスがいい。
特にジェフのスーツ姿はすごくスタイリッシュ。またユンファが身長180cm以上あるらしく、スーツ姿がすごくカッコいい。
シドニーのスーツ姿は一歩間違えたらただのサラリーマンなんだがそうはならず、品の良さがあって安っぽくない。
でもリーのスーツはヤバいね(笑)。あのセンスはヤバい(苦笑)。

 

ちょっと余談だが海辺で子どもが撃たれるシーン、その子が撃たれたカットの前に既にその子の悲鳴が聞こえてるが、これがなんだかすごく可哀相でね、俺は。
血ィ流してる映像よりその声の方が痛ましい。
根は良い男ジェフは自分の危機(リーに追われてる)をかえりみず子どもを病院へ運ぶ。

 

警察。ジェフの似顔絵作成シーン。リーが特徴を語るが、
「年は30位。男らしい顔立ちで、温かさもある。動作は機敏で、しかも冷静。でも殺し屋のように見えない…知的に見える。理想家タイプで、情熱も秘めてる。」
と、名前も知らない男への思い入れはどんどんエスカレート(笑)。それを温かい笑顔で見守る相棒のチャン(笑)。
(正義感のあまり規律破りの兆候があり警察内部で孤立しているリーは、社会の埒外にいて なおかつ心ある人間のジェフに好感を持っている。)

 

シンジケートのボス(出た! シン・フィオン! 凄い顔・笑)が麻薬王殺しの依頼人だが、仕事を完遂したジェフへのギャラを踏み倒す気でいる。
ギャラの支払いを要求するシドニーに、逆にジェフ殺しを命令する。切羽詰ってくるシドニーだが、同じ頃、
リーは壁に10枚以上貼ったジェフの似顔絵を見ながらニンマリ夢想にふけってる(笑)。
そんな訳で、リーはジェフがジェニーに接触してると勘づく。
この後もリーのジェフへの思い込みはとどまるところをしらない。

 

イメージ 6ジェフとシドニーの決裂シーン。ジェフに銃を向けるシドニー…
裏切られたと知ったジェフの哀しみと怒りの入り混じった凄い表情。瞬間情念指数が100をオーバー。
乱入してきたシンジケートの連中を返り討ちにするジェフだが、このシーンでのユンファの連射は凄い。
シドニー「まだ弾は残ってる?」 ジェフ「いつも最後の一発は残す。敵のためか、自分のためだ」(まさかわかんない人はいないと思うが念の為言っとくと、敵を倒す為か、自決する為だ。)
そのまま立ち去りかけるジェフにシドニー「助けてくれてありがとう…」 ジェフ「もう会いたくない」

 

リーがその殺戮事件現場に到着。
ここで再びあの曲(宗教系)!
どうでもいいがこの後ボサッと妄想にふけってたリーがプロファイリング(科学的ではなくメソッドアクティングに近い)並みに見事にジェフと同化!
こんな事やってるからホモセクシャルと混同されるんだよ(苦笑)。これはある種ロマンだろ?(と思いたい・苦笑)